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2008年用ですが、部分的に内容を更新しています(2010/06/14)。
また、[建築農業工作ゼミ2009-2010]とも連動していますので、そちらにも幾つかサンプルがあります。
:

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10/18/2008

Arduino-Processing シリアル通信6


【変更】以下はArduino1.0まで対応したプログラム内容です。
特にシリアル通信においては、Arduino2.0使用の際、バイト送信する場合、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。


これまでのシリアル通信では、ProcessingとArduinoの一対一の通信を行ってきましたが、今回はProcessingで二つのシリアルポートを使い、二つのArduinoとシリアル通信を行う実験をしてみます。それぞれのArduino基盤には可変抵抗器をとりつけて入力値をProcessingへ別々に送信することにします。Processingの画面では、二つの入力信号を個別に読み取ってそれぞれの状態を描画することにします。

具体的なサンプルとして、「Pong」(下画像)のように二つのコントローラによって対戦するプログラムにします。それぞれのArduino基盤がコントローラとしてコンピュータに接続され、画面上でそれぞれのラケットを動かすことになります(得点のプログラムは含まれていません)。


(上画像:Processingの画面「Pong」)

Arduino基盤と可変抵抗器の接続は以下のようになります(二つ必要です)。



Arduinoのプログラム:
void setup(){
  Serial.begin(9600);
}

void loop(){
  //可変抵抗器の読み取り
  int val=analogRead(0);
  //シリアル通信処理
  if(Serial.available()>0){//合図用データが一つ来たら
    //合図用データを読み込んでバッファを空にする
    Serial.read();
    //読取値を4で割り、バイトで送信
    Serial.print(val/4,BYTE);
  }
}

Arduino側のプログラムでは、可変抵抗器からの読取り値を4で割ってスケールダウンした値(0~255)をシリアル通信でProcessing側へ送信しています(同期通信させるために合図用データを用いるシリアル通信の方法については「Arduino-Processing シリアル通信2」を参照して下さい)。二つのArduino基盤とも同じ内容になります。

Processingのプログラム:
//シリアル通信ライブラリを取り込む
import processing.serial.*;
//二つのポートのインスタンス
Serial portA;
Serial portB;
//二つの読取値の変数
int valA=100,valB=100;
//ボ−ル座標用変数
int x=100,y=100;
//ボールの動きの向きの変数(1:正の向き、-1:負の向き)
int dirX=1,dirY=1;

void setup(){
  //画面サイズ設定
  size(300,256);
  //二つのシリアルポート設定
  portA = new Serial(this, "/dev/tty.usbserial-A50019vD", 9600);
  portB = new Serial(this, "/dev/tty.usbserial-A40014iU", 9600);
  //図形外形線なし
  noStroke();
  //塗り色(白)
  fill(255);
  //矩形描画位置を中央に設定
  rectMode(CENTER);
}

void draw(){
  //背景(黒)
  background(0);
  //左ラケット描画(valAをY座標に代入)
  rect(20,valA,10,30);
  //右ラケット描画(valBをY座標に代入)
  rect(280,valB,10,30);
  //ボール描画
  rect(x,y,10,10);

  //ボールX座標の動き
  x+=dirX;//X軸方向に+1または-1ずつ進める

  //ラケットAに当たった時のはね返り
  if(x==30 && y>valA-15 && y<valA+15){
    dirX*=-1;//向きを反転する
  }
  //ラケットBに当たった時のはね返り
  if(x==270 && y>valB-15 && y<valB+15){
    dirX*=-1;//向きを反転する
  }
  //画面左端からはみ出た場合
  if(x<0){
    x=270;//右側に戻る
  }
  //画面右端からはみ出た場合
  if(x>width){
    x=30;//画面左側に戻る
  }

  //ボールY座標の動き
  y+=dirY;//Y軸方向に+1または-1ずつ進める

  //画面上下位置でのはね返り
  if(y<5 || y>251){
    dirY*=-1;//向きを反転する
  }  
}

//キーを押した場合
void keyPressed(){
  //「s」キーでシリアル通信開始
  if(key=='s'){
    //二つのポートへ開始用データ送信
    portA.write(65);
    portB.write(65);
  }
}

//シリアル通信処理
void serialEvent(Serial p){
  //portAの場合
  if(p==portA){
    if(p.available()>0){
      //値を読み込みvalAに代入
      valA=p.read();
      //合図用データ送信
      portA.write(65);
    }
  }
  //portBの場合
  if(p==portB){
    if(p.available()>0){
      //値を読み込みvalBに代入
      valB=p.read();
      //合図用データ送信
      portB.write(65);
    }
  }
}

Processing側のプログラムでは、二つのシリアルポートを用意し、それぞれportA、portB(名前は任意)にしておきます。serialEvent(Serial p){...}の括弧内のpは、ポート名に対応しています(今回の場合は、pはportAまたはportBに対応します)。serialEvent()は、Processingがデータを受信した際に作動するので、if()文を使ってどちらのポートなのかを条件分けして判別し、ポートに応じてそれぞれの読込み値を変数に代入します。同期通信させるために、Arduinoから送信されたデータをp.available()で確認しデータを読み込んだ後に、合図用データ(0~255の数値あるいは'A'や'a'などの一つの文字/1バイト分のデータ)を送信しています。
Processingのプログラムを開始したら、「s」キーを押すことでシリアル通信を開始することにしました(プログラム開始から数秒経った後に「s」キーを押さないと、シリアル通信が開始されないことがあります)。

関連:
Arduino-Processing シリアル通信1」(一つの値を送る/非同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信2」(複数の値をバイトで送る/同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信3」(大きな値を複数送る)
Processing-Arduino シリアル通信4」(ProcessingからArduinoを制御する)
Arduino-Processing シリアル通信5」(複数の値を文字列で送信する)

8/11/2008

Arduino+Processing マトリクスLED+Webカメラ

今回は、Webカメラから取り込んだ映像をArduinoに接続した8×8マトリクスLEDに映す実験を行います。まず、ProcessingでWebカメラからの映像を8×8ピクセルで取り込み、合計64個のピクセルの明るさの値(0〜255)を調べてから、その個々の値をシリアル通信でArduinoに送ります。Arduino側では、受け取った64個分の値をマトリクスLEDの個々の明るさに反映させます。Arduino基盤とマトリクスLEDとは、ICを使わず直結することにします(接続方法は「Arduino マトリクスLED1」を参照)。
Processingの画面では、マトリクスLEDの表示シミュレーション(モニタリング)を同時に行うことにします(前回行ったモザイク処理のような方法で赤い円を64個映し出すことにします)。


「Processingの画面(モニタリング)」

Processingのプログラム:

//ビデオライブラリを取り込む
import processing.video.*;
//キャプチャ用オブジェクトを用意
Capture video;

//シリアル通信ライブラリを取り込む
import processing.serial.*;
//シリアル通信オブジェクトを用意
Serial port;

//64個分のピクセル色の配列を用意
int[] pixelValue=new int[64];

//シリアル通信開始用フラグ
boolean start=false;

void setup(){
//画面を160角に設定
size(160,160);
//描画を滑らかにする
smooth();

//映像キャプチャの設定(幅8,高さ8ピクセル,フレームレート30)
video = new Capture(this, 8, 8, 30);

//ポートの設定
port=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A40014iU",9600);

//外形線なし
noStroke();
}

void draw(){
//背景を黒で塗る
background(0);

//64個分のピクセルの処理
for(int i=0;i<64;i++){
//映像の各ピクセルの色の値を
//明るさの値に変換する
pixelValue[i]=int(brightness(video.pixels[i]));

//円の塗色(赤の値)に代入
fill(pixelValue[i],0,0);
//円を描画
ellipse((i%8)*20+10,(i/8)*20+10,15,15);

//値を送信
if(start){
port.write(pixelValue[i]);
}
}
}

//キャプチャ映像読み込み
void captureEvent(Capture video) {
video.read();
}

クリックでシリアル通信開始
void mousePressed(){
start=true;
}


Processingの方では、VideoライブラリSerialライブラリの二つを取り込む必要があります。マトリクスLEDが8×8の解像度なので、Webカメラから取り込む映像の解像度も8×8にしておきます(カメラ映像の横縦比は4:3なので、少し縦長の映像になってしまいます)。
*Windowsの場合、そのままの設定ではこのVideoライブラリを使用することができません。WinVDIG 1.0.1をインストールする必要があります。
「pixelValue[i]=int(brightness(video.pixels[i]))」では、まず映像の各ピクセルの色をpixels[]で読み込みます。pixels[]は、RGBの三色の値(三つの値)を含んでおり、brightness()で括ると明るさの値(一つの値)に変換されます(0〜255)。変換された値はfloat(小数)なのでint()で括って整数に変換しておきます。この値を、fill()の赤の値に代入し(緑と青は0)、LEDのような赤い円をellipse()を使って64個描画します。8×8を160×160の画面で表示しているので、20×20ピクセルのグリッド状に配置されます。ellipse()の直径はとりあえず15にしておきました。ellipse()のXとY座標は、「%」と「/」を使って計算します(X座標となる「(i%8)*20+10」は、iを8(横幅)で割った余りに20ピクセル掛けて、さらに10ピクセル足すことでellipse()が20×20のグリッドの中心に来るように位置調整しています)。最後に「port.write(pixelValue[i])」で、Arduinoへ各ピクセルの明るさの値を送信します。今回は画面をクリックしたらシリアル通信が開始されるようにしています。

次にArduinoの方に移ります。冒頭で書いたように、今回はマトリクスLEDを、ICを使わず直結します。個々のLEDはダイナミック点灯しているので、点灯時間の長さによって明るさを調整することになります。点灯時間が短ければ暗くなり、長くなれば明るくなります。つまり、Processingから送られて来た明るさの値(0〜255)を、個々のLEDの点灯時間に反映させるプログラムになるということです。マトリクスLEDとの接続方法や詳細については「Arduino マトリクスLED1」を参照してください。

Arduinoのプログラム:

//8x8の二次元配列を用意
byte matrix[8][8];

void setup(){
//出力ピンの設定、すべてオフにする
for(int i=2;i<=17;i++){
pinMode(i,OUTPUT);
digitalWrite(i,LOW);
}
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
}

void loop(){
//シリアル通信(64個分のデータ)
if(Serial.available()>63){
for(int k=0;k<8;k++){
for(int l=0;l<8;l++){
//読み込んだ値を配列に代入
matrix[k][l]=Serial.read();
}
}
}

//各LEDの点灯制御
for(int i=2;i<=9;i++){
//列の点灯
digitalWrite(i,HIGH);

for(int j=10;j<=17;j++){
//行の点灯
digitalWrite(j,LOW);
//行の点灯継続時間
delayMicroseconds(1+matrix[i-2][j-10]);
//行の消灯
digitalWrite(j,HIGH);
//行の消灯継続時間
delayMicroseconds(256-matrix[i-2][j-10]);
}
//列の消灯
digitalWrite(i,LOW);
}
}


以前の「Arduino マトリクスLED1」とほぼプログラム内容は同じです。異なる部分は、シリアル通信と各LEDを点灯/消灯させる継続時間の部分です。用意する二次元配列は、boolean型ではなくbyte型(0~255の値なので)にしています。
シリアル通信上で干渉しないようにするため、Arduino基盤の0番ピンと1番ピンには何も接続しないことにしています(2〜17番ピンを使用)。シリアル通信では、Processingから送られてくる64個のデータをSerial.available()でカウントして、それぞれの値を予め用意しておいた二次元配列matrixに保存しておきます。送られてくるデータは0〜255(明るさの値)となります。そしてダイナミック点灯していく際に、明るさの値をdelayMicroseconds()に代入して、点灯継続時間と消灯継続時間に割り当てます。delayMicroseconds(0)としてしまうと、0マイクロ秒としては扱ってくれないので、delayMicroseconds()の括弧内に入れられる最小値は1にしてあります。最小1マイクロ秒の点灯時間かつ最大256マイクロ秒の消灯時間のときが最も暗くなるときです。その逆で、最大256マイクロ秒の点灯時間かつ最小1マイクロ秒の消灯時間のときが最も明るくなります。個々のLEDは257マイクロ秒ごとにダイナミック点灯していることになります。個々のLEDの点滅を300マイクロ秒程度にすると点滅しているようには見えないので、今回の257マイクロ秒周期で点滅させれば、ほぼ問題ないでしょう。

関連:
・「シリアル通信1〜5
・「Arduino マトリクスLED1
・「Processing Video(Webカメラ)

ロジクールストア(ウェブカメラカテゴリ)

6/16/2008

Arduino 加速度センサ

今回は秋月電子で購入した「KXM52-1050」という3軸加速度センサモジュールを使い、重力方向に対する傾斜角を読み取ります。このセンサでは、XYZ軸の3軸ありますが、XとY軸だけでも三次元的な傾斜角を計測することができます。一応、センサのXYZの3つの出力端子をArduinoのアナログ入力端子にそれぞれ接続することにしますが、実際使うのはXとYの出力値とします。データシートをみながらセンサの端子を以下のように接続します。

1:5V(Arduino5V端子と共有)
2:5V(Arduino5V端子と共有)
3:GND(ArduinoGND端子と共有)
4:無接続
5:GND(ArduinoGND端子と共有)
6:X軸(Arduinoアナログ入力0番ピン)
7:Y軸(Arduinoアナログ入力1番ピン)
8:Z軸(Arduinoアナログ入力2番ピン)



加速度センサを水平なところにおけば、X軸とY軸は重力方向に対して直角なので0Gとなります。5V電源の場合、0Gは2.5Vとして出力されるとデータシートには書いてあります。ArduinoのanalogRead()の1024段階(10ビット)であれば511になるはずですが、さまざまな条件で多少の誤差を含みます。実際に使用する前に、念のためArduinoの「Serial Monitor」で加速度センサの出力値をモニタリングしてみます(Arduinoのモニタリング方法については「Arduino 圧電スピーカ」を参照」。

Arduino (Serial Monitor)のプログラム:

void setup(){
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
}

void loop(){
//3つの値をアナログ入力で読み込む
int x=analogRead(0);
int y=analogRead(1);
int z=analogRead(2);

//Xの値を出力(十進数)
Serial.print(x,DEC);
//値と値の間に区切りを入れる
Serial.print(",");
//Yの値を出力
Serial.print(y,DEC);
//値と値の間に区切りを入れる
Serial.print(",");
//Zの値を出力し改行する
Serial.println(z,DEC);
delay(100);
}
}

3つの値を一行で出力する際に、Arduinoの出力画面上で読みやすいようにそれぞれの値の間に「","」の区切りの記号(コンマ)をいれます。この区切り記号は何でもいいのですが、これがないとそれぞれの数値同士が隣り合わせになって読みにくくなります(また、3つの数値をそれぞれ改行して出力すると、どれがX軸の値でどれがY軸の値なのか分かりにくくなるので、3つ出力してから改行しています)。
固定した角度で計測しても数値が安定しないので、100個の値をサンプリングして平均値を求めたいと思います。平均値のプログラムを付け加えます。100個分の値の合計となると、数字も大きくなるので「int」型の整数ではなく、より大きい値が扱える「long」型の整数を変数として使います。


//加算用の変数
long x_sum, ysum, z_sum;
//回数の変数
int count=0;

void setup(){
Serial.begin(9600);
}

void loop(){
int x=analogRead(0);
int y=analogRead(1);
int z=analogRead(2);

//それぞれに値を足していく(合計数)
x_sum+=x;
y_sum+=y;
z_sum+=z;

//回数を+1する(カウントアップ)
count++;

//100回カウントしたら
if(count>99){
//合計数を100で割って平均値を出す
Serial.print(x_sum/100,DEC);
Serial.print(",");
Serial.print(y_sum/100,DEC);
Serial.print(",");
Serial.println(z_sum/100,DEC);
//カウントを0に戻す
count=0;
//合計数を0に戻す
x_sum=0;
y_sum=0;
z_sum=0;
}
}

まずは、X軸について計測することにします。水平状態(0G)に対して定規などを用いて−90度傾けて−1Gの値、90度傾けて+1Gの値を上記プログラムを用いて計測することにします。
プログラム上では、xの値をx_sumに足していき、変数countで何回足したかを数えておきます(1ループで一回足されます)。countが100になったら、100回分の合計数であるx_sumを100で割り、その値を出力します(yについても同様に計測します)。
0Gの値については、水平に置いて計測してもいいのですが、今回は−1Gの時の値と+1Gの時の値の中点を用いることにします。よって、以下のような計測結果になります。

  角度:   重力:X軸平均値:Y軸平均値
-90度:  -1G:  316:  271
中点0度:   0G:  536:  491
+90度:  +1G:  756:  711 

これらの値は、今回使用した加速度センサと計測状況において求められた値なので、各自で似たような方法で計測してください。

それでは、この計測結果をもとに、Processingにセンサからの出力値をシリアル通信し、Processing上の3D立体を動かしてみたいと思います。センサを傾ければ、同様に3D立体も同じ角度で傾くようにします。シリアル通信は、1024段階の値を文字列で送ることにします(「Arduino-Processing シリアル通信5」を参照)。このプログラムでは、X軸とY軸だけを読み取ることにします。

Arduinoのプログラム:

void setup(){
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
}

void loop(){
//2つの値をアナログ入力で読み込む
int x=analogRead(0);
int y=analogRead(1);

if(Serial.available()>0){
//Xの値を出力
Serial.print(x,DEC);
//値と値の間に区切りを入れる
Serial.print(",");
//Yの値を改行して出力
Serial.println(y,DEC);
//合図用データを読み込みバッファを空にする
Serial.read();
}
}

センサから読み取ったXとY軸の値をそのままArduinoから送信します。
Processingでは、受け取った値を角度に変換する計算が必要になります。まず0Gを基準にして、水平時の値が0になるようにオフセット値(X軸の場合:536、Y軸の場合:491)を設けて差し引いておきます。そうすれば、

  角度:   重力:   X軸:   Y軸
-90度:  -1G: -220: -220
  中点:   0G:    0:    0
+90度:  +1G: +220: +220

となります。振り幅は0Gを基準にプラスマイナス220となります。
次に角度の計算ですが単位はラジアンを用います。−90度から+90度までの範囲なので、ラジアンでいうと−PI/2から+PI/2になります(PIは円周率のπです)。X軸の値が110であれば、振り幅である220(1G)の半分なので0.5Gになります。角度については90度の半分なので45度になりそうですが、実際は30度になります。−45度の場合は、以下の図のように約−156になります。



この計算方法は以下のようにして求められます。

acos()、asin()を用いる場合:
まず、Arduinoから送られて来たX軸の値をx、オフセット値をx_offset(今回のオフセット値は536)、オフセット調整した値をx0とすると、

x0=x-x_offset;

になり、角度をradX(ラジアン)とすると

sin(radX)=x0/220;

という関係になります。例えば、x0=110を代入すればsin(radX)=1/2なので、radXは30度となります。
Processingにはasin()acos()の関数があるので、それを利用すると

radX=asin(sin(radX));

という関係になり、sin(radX)にx0/220を代入し

radX=asin(x0/220);

となることで角度radXが求まります。
Y軸についてはacos()で求めると、

radY=acos(y0/220);

になります。

atan2()を用いる場合:
また、この関係をタンジェントで表せば、

tan(radX)=x0/sqrt(220*220-x0*x0)

となります。sqrt()は平方根(ルート)を求める関数です。
角度を求めるには、atan2()という関数を用いて、

radX=atan2(x0,sqrt(220*220-x0*x0));

とします。そうすると角度radXが求められます。

加速度センサのX軸プラス方向をProcessingの3D空間のX軸マイナス方向に対応させるために-radXに変換します。加速度センサのY軸方向を3D空間のZ軸方向に対応させて、

rotateX(-radX)
rotateZ(radY)

となります。
もし、加速度センサの回転方向と、3D立体の回転方向が逆になってしまうときは、値にマイナスを掛けます。また、90度ずれているときはPI/2を足します。実際にセンサを動かして、同じように3D立体が動くか確かめて下さい。

Processingのプログラム:

import processing.serial.*;
Serial port;

//読み取り値の変数
int x,y;

//X軸-1G時316、+1G時756であることから
//X軸のオフセット値
int x_offset=536;
//X軸の振り幅(-1G〜0G又は0G〜+1G)
int x_range=220;

//Y軸-1G時271、+1G時711であることから
//Y軸のオフセット値
int y_offset=496;
//Y軸の振り幅(-1G〜0G又は0G〜+1G)
int y_range=220;

//角度(ラジアン)の変数
float radX,radY;

void setup(){
//3D画面サイズ400×400
size(400,400,P3D);
//シリアルポート設定
port = new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A50019vD",9600);
//念のためバッファを空にする
port.clear();
//「10」(ラインフィード)が来る度にserialEvent()作動
port.bufferUntil(10);
//図形塗り面なし(ワイヤフレーム描画)
noFill();
}

void draw(){
//背景色を白
background(255);

//3D立体の座標を画面中央、-100奥に配置
translate(width/2,height/2,-100);

//オフセット調整(最小値-220、最大値220)
int x0=constrain(x-x_offset,-220,220);
int y0=constrain(y-y_offset,-220,220);

//角度の計算(ラジアン)
radX=asin(x0/x_range);//asin()で求める
radY=acos(y0/y_range);//acos()で求める
//radX=atan2( x0,sqrt(x_range*x_range-x0*x0) );//atan2()で求める場合
//radY=atan2( y0,sqrt(y_range*y_range-y0*y0) );

//センサX軸の角度は3D立体のX軸の角度に対応
//センサY軸の角度は3D立体のZ軸の角度に対応
//角度をそれぞれ代入
rotateX(-radX);
rotateZ(radY);

//直方体を描画
box(200,30,100);
}

//シリアル通信
void serialEvent(Serial p){
//文字列用変数を用意し、
//「10」(ラインフィード)が来るまで読み込む
String stringData=port.readStringUntil(10);

//データが空でないとき
if(stringData!=null){
//改行記号を取り除く
stringData=trim(stringData);
//コンマで区切ってデータを分解、整数化
int data[]=int(split(stringData,','));

//データ数が2個のとき
if(data.length==2){
//データの値を代入
x=data[0];
y=data[1];
//合図用データ送信
port.write(65);
}
}
}

//マウスボタンを押して通信開始
void mousePressed(){
//合図用データ送信
port.write(65);
}

void draw(){...}内の「オフセット調整」箇所の

int x0=constrain(x-x_offset,-220,220)

は、constrain()を用いて、読み取った値xからオフセット値であるx_offsetを差引き、最小値−220から最大値220までの値になるように制限しています。

ノイズのせいか、動きがぎこちない場合はフィルターのプログラムを挿入し滑らかにします。そのためには、radX、radYと同様にプログラムの冒頭でフィルター用の変数:
float filterX,filterY;

を用意しておき、void draw(){...}内の最後の角度を求める箇所を以下のように変更してください。
radX=asin(x0/x_range);//変更なし
radY=acos(y0/y_range);//変更なし

//フィルターの式
filterX+=(radX-filterX)*0.3;//新たに挿入
filterY+=(radY-filterY)*0.3;//新たに挿入

rotateX(-filterX);//変更
rotateZ(filterY); //変更

フィルターの式の「0.3」は係数であり、1.0に近づくほどフィルターの効果はなくなります。逆に0.1のように係数の値を小さくすれば、滑らかになりつつ反応が鈍く動くようになります。適度に調整してみてください。


尚、もっと簡単に加速度センサを扱いたい場合は(あまり正確な角度にこだわらないのであれば)、
//オフセット調整(最小値-220、最大値220)
int x0=constrain(x-x_offset,-220,220);
int y0=constrain(y-y_offset,-220,220);
//角度の計算(ラジアン)
radX=asin(x0/x_range);
radY=acos(y0/y_range);

の部分を、
radX=2.0*x*PI/1023;
radY=2.0*y*PI/1023;

に置き換えてもセンサを傾けた方向に3D立体が傾きます。この計算では、読み取った直接の値に比例して角度も変わります(比率が多少ずれてしまいます)。この場合は、モニタリングで調べた最小値/最大値/オフセット値などの設定もする必要はありません。式の中の「2.0」というのは係数であり、大きくすれば傾きも大きくなるので画面で確認しながら調整してください。

−90度や+90度付近では、出力値の変化が微妙になるので、きちんとした角度が出ない場合があります。出力値補正のためにZ軸の出力も利用すれば、計算は少し複雑になるかもしれませんが、±90付近まで計測可能になります。

6/12/2008

Arduino-Processing シリアル通信5


【変更】以下はArduino1.0まで対応したプログラム内容です。
特にシリアル通信においては、Arduino2.0使用の際、バイト送信する場合、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。


以前行ったシリアル通信では、ArduinoのanalogRead()で読み取った値(0〜1023までの値)を0〜255(8ビット)にスケールダウン(4で割る)して送信するか、256以上の大きな値を、二つの0〜255(8ビット)の数値に分解して送っていました。今回は、たとえば「1023」という255より大きい値を、そのままの「1023」という値で送信したいと思います。そのためには、読み取った整数値(int型)を文字列として送信します。
今回は3つの可変抵抗器を読み取って(接続方法は「Arduino-Processing シリアル通信2」を参照)、Arduinoから3つの値をまとめて送信します。複数の値を送る際には数値と数値の間にデリミターという区切りの記号(今回の場合「,」コンマ)を挿入して送信します。そうすることによって、Processingでデータを受け取る際に、データ内容を混同せず読み取ることができます。最初の二つの読み取り値は、Serial.print()を使ってDEC(十進数文字列)のフォーマットで送信し、区切り記号のコンマもSerial.print()で文字列として送信します。最後の読み取り値を送る時に、DECフォーマットでSerial.println()を用い「改行」して送信します。改行することで、Processing側でデータを受け取る際に、送られて来たデータのどの部分が最後であるのかを確認することが可能になります。それでは、Arduinoのプログラムから始めます。

Arduinoのプログラム:
void setup(){
  //シリアル通信開始
  Serial.begin(9600);
}

void loop(){
  //3つのセンサの値を読み取り、変数に代入
  int x=analogRead(0);
  int y=analogRead(1);
  int z=analogRead(2);

  //合図用データが一個きたら
  if(Serial.available()>0){
    //xの値を十進数文字列で送信
    Serial.print(x,DEC);
    //区切り記号コンマを送信
    Serial.print(",");
    //yの値を十進数文字列で送信
    Serial.print(y,DEC);
    //区切り記号コンマを送信
    Serial.print(",");
    //zの値を十進数文字列かつ改行して送信
    Serial.println(z,DEC);
    //合図用データを読み込みバッファを空にする
    Serial.read();
  }
}


「xの値 コンマ yの値 コンマ zの値 改行」というデータが一度に送られることになります。Serial.print(value,DEC)の「DECフォーマット」の数値は文字列であり、以前使ったSerial.print(value,BYTE)の「BYTEフォーマット」の数値と異なる値になります。文字列の「1」は、BYTEフォーマットでは、「49」に相当します。十進数文字列とバイトの数値の対応は以下のようになります(ちなみに、BYTEフォーマットの「65」は文字列の「A」になります)。

DEC: BYTE:
 0  48
 1  49
 2  50
 3  51
 4  52
 5  53
 6  54
 7  55
 8  56
 9  57

アスキーコード表」にこれらの対応関係が掲載されています。
たとえば、「120」という値の場合、BYTEフォーマットならそのまま「120」となりますが、DECフォーマットでは「49 50 48」というように「1」「2」「0」という3つの文字を送ることになります。DECフォーマットでは、1桁の数値なら1バイト分のデータであり、2桁なら文字二つを送るので2バイト、3桁なら3バイト必要になります。BYTEフォーマットは、255までの数値であれば1バイトで済みますが、それ以上の数値は「Arduino-Processing シリアル通信3」で行ったように、分解して送るなどの工夫が必要となります。
DECフォーマットで、そのままの値を文字列として送信した方が分かりやすいのですが、その分バイト数が増えてしまうことにもつながります。BYTEフォーマットであれば少ないバイト数で送ることができますが、大きな数値を分解して計算し直さなければいけないので、十進数の数値として扱いづらくなります。状況に応じて使い分けるのがいいと思います。

次に、Processing側のプログラムに入る前に、どのようなかたちでデータを受け取るかということについて説明します。

例えば、3つの可変抵抗器から読み取られる値が、

x=120
y=284
z=1015

の場合、Arduinoからは、

「120 コンマ 284 コンマ 1015 改行」

というデータが送られてきます。
「コンマ」は「アスキーコード表」では「44」であり、「改行」記号は「アスキーコード表」の「13」と「10」がデータの最後に付け加えられることになります。
「13」は「キャリッジリターン(行頭に戻る)」ということであり、文字列では「\r」になります。
「10」は 「ラインフィード(次の行へ移る)」ということであり、文字列では「\n」になります。
Windowsでは、キャリッジリターンとラインフィードで改行となり、Macintoshでは、キャリッジリターンのみで改行されるので、この二つがあることで、いずれにせよ改行されることになります。

先ほどの、

「120 コンマ 284 コンマ 1015 改行」

というデータは、

"120" + "," + "284" + "," + "1015" + "\r" + "\n" 

という文字列データになります。
コンマや改行記号を手掛かりにすれば、データの順番や終わりの部分をProcessing側で判別して読み込むことができます。それでは、このようなことを踏まえてProcessingのプログラムをしてみたいと思います。PFontを用いて、数値を文字で画面に表示することにします。マウスを押したら通信開始することにします(プログラムが開始して数秒たってからマウスを押さないと反応しないときがあります)。

Processingのプログラム:
//シリアルライブラリを取り込む
import processing.serial.*;
//シリアル通信用変数portを用意
Serial port;

//フォント用変数fontを用意
PFont font;

//読み込み値の変数を用意
int x,y,z;

void setup(){
  //画面サイズ設定
  size(400,200);

  //フォントをロードする
  font = loadFont("Monaco-10.vlw");
  //フォント使用開始:サイズ10
  textFont(font, 10);
  //文字を右寄りに配置する
  textAlign(RIGHT);

  //シリアルポート設定
  port = new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A50019vD",9600);
  //念のためバッファを空にする
  port.clear();
  //「10」(ラインフィード)が来る度に
  //serialEvent()を発動させる
  port.bufferUntil(10);  
}

void draw(){
  //背景を白で塗りつぶす
  background(255);
  //3つの値を文字で表示する
  text(x,100,50);
  text(y,200,50);
  text(z,300,50);
}

//シリアル通信
void serialEvent(Serial p){
  //文字列の変数stringDataを用意し、
  //「10」(ラインフィード)が来るまで読み込む
  String stringData=port.readStringUntil(10);

  //文字列データが空ではないとき
  if(stringData!=null){
    //文字列データに含まれる改行記号を取り除く
    stringData=trim(stringData);

    //整数型の配列data[]を用意し、
    //コンマ記号をもとに文字列データを区切って
    //配列data[]に整数化して入れておく
    int data[]=int(split(stringData,','));

    //配列data[]内のデータが3つなら、
    if(data.length==3){
      //最初のデータをxに代入
      x=data[0];
      //次のデータをyに代入
      y=data[1];
      //その次のデータをzに代入
      z=data[2];

      //合図用データ送信
      port.write(65);
    }
  }  
}

//マウスが押されたら通信開始
void mousePressed(){
  //開始用データ送信
  port.write(65);
}

Processing上のシリアル通信では、まず初期設定setup(){...}内で、bufferUntil()を使って、指定した文字がArduinoから送られて来るたびにserialEvent()が作動するように設定しておきます。Arduinoから最後に送られてくるSerial.println()によって、データの末尾が改行記号の「\n」であることから、今回はbufferUntil()の括弧内には「10」を入れておきます。整数値「10」は文字列の改行記号の「\n」(ラインフィード)に相当します。
そして、serialEvent(){...}内では、readStringUntil()を用いて、同様に「10」つまり「\n」が来るまでデータを読み込む設定にします。読み込まれたデータは、3つの値以外にも「コンマ」や「改行」記号が含まれた連続した文字列なので、その文字列の内容を整理し直す必要があります。
「stringData!=null」は、読み込まれたデータが空(null)ではないとき、つまり何かしらのデータがあるときという条件です。データがあれば、その文字列データに含まれている余分な空白記号や改行記号をtrim()によって取り除きます。
その後、それぞれの値の区切り記号(デリミター)として用いた「,」コンマをもとに、連続したひとつのデータをsplit()で分解します。split()によって分解されたデータは、複数のデータを内包する配列に変換されます。さらに、分解されたデータは、まだ文字列なので、int()を用いて整数値へ変換します。そのためにdata[]という配列を用意し、「int data[]=int(split(stringData,','))」の中で、この一連の変換作業を行っています。配列については、「Arduino 7セグLEDの点灯」の後半でも触れていますので、参照してください。
if(data.length==3){...}は、配列data[]内のデータ数が3つあるときにという条件です。length配列の大きさ(データを何個含んでいるか)を数えます。データ数が3つあることを確認してから、配列data[]に含まれる一つ目の値「data[0]」をxに代入します(配列では、最初のデータは0番目となります)。同様にyとzについても代入します。最後に合図用データを一つ送信します(65以外の数値でも大丈夫です)。合図用データをArduinoへ送信すれば、Arduinoは再び新たなデータを送り返してきます。

連続した文字列データを個別の数値に変換する手続きを以下にもう一度書きます。
Arduinoで読み取った3つの値を、

x=120
y=284
z=1015

とすれば、
Arduinoからは、

"120" + "," + "284" + "," + "1015" + "\r" + "\n" 

という順番で文字列として送信されます。
Processingでは、port.readStringUntil(10)で括弧内の「10」つまり「\n」までを、

"120,284,1015\r\n" 

という連続したデータとして読み込みます(「\r\n」は改行記号)。合計14個の文字があるので14バイトになります。「\r」と「\n」はそれぞれ1バイトずつとなります。 
trim()で「改行」記号を削除すると、

"120,284,1015"

になります。
split()で「,」をもとに分解すると、

{"120","284","1015"}

という、3つの文字列を含んだ配列のデータに変換されます。
さらに、これら3つの文字列をint()で整数の数値に変換すると、

{120,284,1015}

になり、予め用意しておいた整数型の配列data[]に入れます。

int data[]={120,284,1015}

そして、「data.length」によって配列data[]のデータ数が3個であるかを確認し、これらの値(整数値)を順にx、y、zへ入れます。

x=data[0]
y=data[1]
z=data[2]

この手順を踏んで、連続した文字データを個別の数値として扱うことができます。


関連:
Arduino-Processing シリアル通信1」(一つの値を送る/非同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信2」(複数の値をバイトで送る/同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信3」(大きな値を複数送る)
Processing-Arduino シリアル通信4」(ProcessingからArduinoを制御する)
Arduino-Processing シリアル通信6」 (2台のArduinoとProcessingを通信させる)

6/01/2008

Processing-Arduino シリアル通信4


【変更】以下はArduino1.0まで対応したプログラム内容です。
特にシリアル通信においては、Arduino2.0使用の際、バイト送信する場合、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。


前回までは、Arduino基盤に接続したセンサなどからProcessingの画像を動かしていましたが、今回はその逆で、Processingで制作した画像からArduinoを制御したいと思います。前回同様合図用のデータを送り、確認し合いながら通信します。Processingでマウスで動かすことができるスライダをつくり、256段階の値をArduino側に送り、PWM出力を用いてLEDの明るさを調節できる内容とします。Processing側から操作するので、まずProcessing側のプログラムから書きます。

Processingのプログラム:
//シリアルライブラリの取り込み
import processing.serial.*;
Serial port;

//X座標の変数
int x=0;

void setup(){
  size(255,100);
  //シリアルポートの設定
  port=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
}

void draw(){
  background(100);
  line(x,0,x,height);
}

void serialEvent(Serial p){
  //データ数が0個より多いとき
  if(port.available()>0){
    //X座標を送信
    port.write(x);
    //Arduinoからの合図用データを
    //読み込んでバッファを空にする
    port.read();
  }
}

void mouseDragged(){
  //ドラッグ中のX座標にマウスX座標を
  //最小値0,最大値255で入れる
  x=constrain(mouseX,0,255);
}

void keyPressed(){
  //sキーを押したら
  if(key=='s'){
    //通信開始用データ送信
    port.write(0);
  }
}


今回は、キーボードの「s」キーを押すことでシリアル通信を開始することにしました。「s」キーを押さなければ、Processing、Arduinoの両方のプログラムは、どちらも待機中となります。そのため、Processing側から「s」キーを押して、通信開始のきっかけとなるデータを1個(1バイト分)送ります。
Arduino側では、11番ピン(PWMピン)にLEDのプラス側を、GNDにマイナス側をつなぎます。必要に応じてその間に抵抗(220Ω)を直列つなぎします。

Arduinoのプログラム:
//読み取り値の変数
int val=0;

void setup(){
  //シリアル通信開始
  Serial.begin(9600);
}

void loop(){
  //データが0個より多いときの時
  if(Serial.available()>0){
    //データの読み込み
    val=Serial.read();
    //合図用データ送信(1バイト)
    Serial.write(65);
  }
  //アナログ出力(11番ピン)に読み込み値を入れる
  analogWrite(11,val);
}

手順としては、
(1)両方のプログラムが開始される。
(2)合図用データの待機中。
(3)Processingから「s」キーで通信開始用データを送信。
(4)Arduinoのバッファ内データを数える。
(5)Arduinoバッファ内データが1個以上ならデータ読み込み。
(6)その結果、Arduinoバッファ内データが空になる。
(7)Arduinoから合図用データ送信。
(8)Proccessingバッファ内データを数える。
(9)Processingバッファ内データが1個以上ならX座標データ送信。
(10)合図用データを読み込み、バッファを空にする。
 *以後は、(4)へ戻り通信を繰り返す。

追記:
上記プログラムで通信が途切れてしまう場合、ArduinoよりProcessingの処理速度が速すぎるのかもしれません。Processingのvoid setup(){...}内でframeRate(30)程度にするか、draw(){...}内にdelay(20)程度を挿入し少しスピードダウンすると安定するかもしれません。
あるいは、ProcessingからArduinoへ一方向的にデータを送る内容なので非同期通信にしてもいいかもしれません。その場合もProcessingのvoid setup(){...}内でframeRate(30)程度にスピードダウンし、void draw(){...}内にport.write(x)を入れて(serialEvent()は使わず)30fpsで定期的に送信し、Arduino側でそのデータを受け取るようにします(合図用データは送る必要はありません)。


関連:
Arduino-Processing シリアル通信1」(一つの値を送る/非同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信2」(複数の値をバイトで送る/同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信3」(大きな値を複数送る)
Arduino-Processing シリアル通信5」(複数の値を文字列で送信する)
Arduino-Processing シリアル通信6」 (2台のArduinoとProcessingを通信させる)

5/28/2008

Arduino-Processing シリアル通信3


【変更】以下はArduino1.0まで対応したプログラム内容です。
特にシリアル通信においては、Arduino2.0使用の際、バイト送信する場合、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。


前回までのサンプルでは、ArduinoのSerial.write()を用いて、0〜255までの256段階の値を扱っていました。analogRead()からは、0〜1023までの1024段階の値を読み取ることができるのに、わざわざ4で割って256段階にスケーリングして解像度を落としていました。
今回はanalogRead()から読み取った1024段階の値を解像度を落とさずProcessingへ送信したいと思います。1024段階の値を二つの値に分解して送信する方法を用いることにします。大きな画面上で図形などを滑らかに動かすときや、センサなどから読み取った値を精度高く計算したいときは、解像度を低くできない場合があります。そのような時に、今回の方法を用いるといいでしょう。
今回もまた3個の可変抵抗器を基盤につなぎ(配線については前回ブログ参照)、それぞれをanalogRead()で1024段階で読み取り、Processing上でも1024段階で表現したいと思います。

Arduinoのプログラム:
//3つの変数を用意
int x, y, z;

void setup(){
  //シリアル通信開始
  Serial.begin(9600);
}

void loop(){
  //x,y,zの変数へ読み込んだ値を入れる
  x = analogRead(0);
  y = analogRead(1);
  z = analogRead(2);

  //Processingからの合図用データが
  //バッファ領域内に一つ以上になったら
  if(Serial.available() > 0){
    //それぞれの値を2つの値に
    //分解するための変数を用意し
    //計算結果を入れる
    int x_high = x / 256;
    int x_low = x % 256;
    int y_high = y / 256;
    int y_low = y % 256;
    int z_high = z / 256;
    int z_low= z % 256;
    //分解した値を送る
    Serial.write(x_high);
    Serial.write(x_low);
    Serial.write(y_high);
    Serial.write(y_low);
    Serial.write(z_high);
    Serial.write(z_low);
    
    //合図用データを読み込んで、
    //バッファ領域を空にする
    Serial.read(); 
  }
}

以上のプログラムで、x,y,zは整数型の変数です。整数型の計算では、例えば10/3=3、3/10=0であり、小数点以下の部分は無視されます(四捨五入もされません)。ちなみに、小数点まで求める場合は、float型の変数を用います。
それから「%」(Modulo)という割り算の余りを求める計算式があります。10%3=1、3/10=3、10%4=2、10%5=0となります。
今回はこの二つの計算方法を使って、0〜1023の1024段階の値をx_highとx_lowという二つの値に分解して、二つのデータとしてArduinoから送ります。送られたデータはProcessing上で再び合成されて、一つの値として扱われるようにします。
例えばArduinoのanalogRead()から950という読み取り値があったら、
x_high = 950 / 256;
x_low = 950 % 256;

として、
x_high = 3;
x_low = 182;

となります。
この二つの値3と182をそれぞれProcessingへ送信し、Processing上で、
x_high * 256 + x_low = 950

つまり、
3 * 256 + 182 = 950

と計算し直して、もとの値950を得ることになります。実は、分解された値は前回同様最大値が255(256段階)であり、大きな値に対して256が幾つ分あり、そしてその余りが幾つかということを計算して送信しています。
同様にyとzについても分解して送信し、Processing上で合成します。
今回は3つの値があり、それぞれを二つに分解して送信するので、合計6回送信します。

Processingの方では、円のXY座標と大きさをそれぞれ調節可能にするプログラムとします。解像度が1024段階あるので、画面サイズは大きめにしておきます。前回同様、マウスで画面をクリックしたら、通信開始するプログラムにします。

Processingのプログラム:
//シリアルライブラリを取り込む
import processing.serial.*;

Serial myPort;
int x,y,z;

void setup(){
  //大きめの画面サイズに設定
  size(1000,700);
  //滑らかな描画にする
  smooth();
  //シリアルポート設定
  myPort=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
  //バッファ領域を空にしておく
  myPort.clear();
  //図形の塗りを200に設定
  fill(200);
}

void draw(){
  //背景を白に設定
  background(255);
  //円の描画
  //XY座標と幅、高さに変数を入れる
  ellipse(x,y,z,z);
}

void serialEvent(Serial p) {
  //バッファ領域に6個のデータがあるとき
  if(myPort.available()>5){
    //分解された値を読み込む変数を用意し
    //各変数に読み込み値を入れる
    int x_high = myPort.read();
    int x_low = myPort.read();
    int y_high = myPort.read();
    int y_low = myPort.read();
    int z_high = myPort.read();
    int z_low = myPort.read();
    
    //読み込んだ値をそれぞれ合成し、
    //1024段階の値としてx,y,zに代入
    x = x_high * 256 + x_low;
    y = y_high * 256 + y_low;
    z = z_high * 256 + z_low;
    
    //合図用のデータを送る
    myPort.write(65);
  } 
}

//マウスが押されたら通信開始
void mousePressed(){
  myPort.write(65);
}

0〜255というのは、1バイト分のデータであり、二進数の
00000000〜11111111

の値ということになります。00000000は0であり、11111111は255です。0か1が8桁あり8ビット(=1バイト)となります。
16ビットなら16桁あり
0000000000000000〜1111111111111111

となり、0〜65535となります。16ビットなので2バイトあります。
今回値を二つに分けて送信した方法というのは、16ビットを
00000000|00000000

というように上位8桁と下位8桁に分けて送信したことと同じです。
もし、256という値なら、
00000001|00000000

となり、上位8桁だけをみれば00000001なので、8ビットの1と等しいことになります。下位8桁は00000000なので、8ビットの0になります。つまり、256の場合は、1(上位)と0(下位)が送信されるということになります。
950を16ビットの二進数であらわすと、
0000001110110110

であり、同様に上位8ビット、下位8ビットで分けると、
00000011|10110110

になり、
上位8ビット00000011は10進数の3であり、下位10110110は182になり、3と182を送信することになります。
ArduinoやProcessingにも二進数/ビット演算の数式や関数があります。
>>」という記号を用いて、
950 >> 8

と書けば、この値は3となります。つまり、950/256=3と同じ結果が得られます。
>>」というのは「右にシフトする」という意味で、「950 >> 8」においては「950を8桁右にシフトする」ということになります。二進数で言えば、
0000001110110110

という16桁を8桁右にずらす(シフト)ので、
0000000000000011

となり、十進数の3になります。
950 >> 1

なら、1桁右にずらすので、
0000000111011011

となります。ずらされて右端からあふれてしまった0や1は消えてしまいます。
そのほか「&」というのもあります。
950 & 255

と書けば、
182となり、950 % 256と同じ結果が得られます。以下のようにそれぞれを上下に重ね合わせて、950を255でマスキングするような感じです(ビットマスク)。
00000011|10110110  950
00000000|11111111  255
00000000|10110110  182

255の0のある桁(上位8桁)の真上の950の桁00000011はすべて消されて0となり、255の1のある桁(下位8桁)の真上の950の桁10110110だけ残ります。255は16桁のうち上位8桁はすべて0が並んでおり、下位8桁はすべて1が並んでいるので、255というマスキングを950に施すということは、950の上位8桁を消して(0にする)、下位8桁だけを取り出すということになります。つまり、
950 >> 8 = 3
950 & 255 = 182

という計算でも、950/256=3、950%256=182と同じ値が得られるということになるので、Arduino上のxの値に関しては、
x = analogRead(0);
byte mask = B11111111;
Serial.write(x >> 8);
Serial.write(x & mask);

と書くことができます。「byte mask = B11111111」というのは、maskというバイト型の変数を用意し、その値が11111111であるということで、xの値の下位8桁だけを取り出すために使っています。Arduinoにおいてバイトの場合は、8桁の二進数の頭の部分に「B」(二進数/バイナリーのフォーマット)を付けます。Processing上では、
(3 << 8) + 182 = 950

というように、逆に「3を左に8桁シフト」してから「182を足す」と「950」になるので、Processingでは、
x = (x_high << 8) + x_low;

と書けば同じ値を得ることができます。

二進数の表記やビット演算はサンプルプログラムやデータシートの中にも出てくることがあります。ビットやバイトを使わなくてもプログラムできますが、覚えておくと便利なときもあり、考え方や計算もよりシンプルになる場合があります。


関連:
Arduino-Processing シリアル通信1」(一つの値を送る/非同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信2」(複数の値をバイトで送る/同期通信)
Processing-Arduino シリアル通信4」(ProcessingからArduinoを制御する)
Arduino-Processing シリアル通信5」(複数の値を文字列で送信する)
Arduino-Processing シリアル通信6」(2台のArduinoとProcessingを通信させる)

5/27/2008

Arduino-Processing シリアル通信2


【変更】以下はArduino1.0まで対応したプログラム内容です。
特にシリアル通信においては、Arduino2.0使用の際、バイト送信する場合、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。


前回のシリアル通信では、ひとつの値をArduinoからProcessingへ一方的に送り続ける内容でした。今回は、Arduino側から三つの可変抵抗器を使って、三つの異なる値をProcessingへ送りたいと思います。

例えば、Processing上の3DモデルのX座標、Y座標、Z座標の値を送り、それぞれのツマミで三次元的に立体を動かすことができるプログラムになるということです。
Arduinoから3つの値を送るには、
Serial.write(x);
Serial.write(y);
Serial.write(z);

となります。
3つの値がXYZの順番で送られる場合、XYZ XYZ XYZ・・・と繰り返されますが、Processing側の読み取りを開始するタイミングがずれると、最初の幾つかの値をスキップしてしまい、YZX YZX YZX・・・、あるいはZXY ZXY ZXY・・・となってしまいます。このように、順番がずれないようにするためには通信上の工夫が必要となります。今回の方法では、3つの値を一方的に送るのではなく、受取確認をしながらお互いに通信します。以下にプログラムを書きます。

Arduino側のプログラム:
//x,y,zの3つの変数を用意し、初期値を0とする
int x=0;
int y=0;
int z=0;

void setup(){
  //シリアル通信開始
  Serial.begin(9600);
}

void loop(){
  //アナログ入力ピン0,1,2を
  //それぞれx,y,zに対応させる
  //値を4で割って最大値255にする
  x=analogRead(0)/4;
  y=analogRead(1)/4;
  z=analogRead(2)/4;

  //Processingから合図のデータが
  //一つ送られてきたらという条件
  if(Serial.available()>0){
    //x,y,zの順番で値を送る
    Serial.write(x);
    Serial.write(y);
    Serial.write(z);
    //先ほどのProcessingからの
    //合図のデータを読み込む
    Serial.read();
  }
}

Arduinoプログラム上のSerial.available()は、外部(この場合Processing)から1バイト分のデータが何個送られてきているかを数えてくれます。送られてくるデータは、Arduinoであれ、Processingであれ、それぞれのメモリ上(バッファ領域)に一旦貯められます。その後、Serial.read()によって、貯められているデータから順番にひとつずつ読み込む処理をします。もし、読み込む処理をしなければ、送られたデータは次々とバッファ領域に溜まり続けます(設定した限界をこえるとそれ以上貯めることはできなくなります)。if(Serial.available()>0){...}という条件は、データが1個以上貯まったら(0個より多い場合)、{...}内の処理をするという意味です。

このプログラムの場合の手順は以下のようになります。

(1)まず、Processingから合図用のデータが送られてくる。
(2)合図用のデータが、一旦Arduinoのバッファ領域に貯められる。
(3)Serial.available()で、現在何個データが貯まっているか数える。
(4)合図用のデータが1個以上あれば、(5)以下を実行する。
(5)Serial.write(x)で、新たなxの値を送信する。
(6)Serial.write(y)で、新たなyの値を送信する。
(7)Serial.write(z)で、新たなzの値を送信する。
(8)Serial.read()で、バッファ領域内の合図用のデータを読み込む。
(9)結果、バッファ領域が空になる(データの個数が0個になる)。
(10)Processingからの合図用のデータを待つ。

その後は(1)に戻り、同様の処理を繰り返します。要するに、Processingからの合図のデータが毎回1個送られて、それを確認後、Arduinoはx、y、zの値を送り返すという手順を踏みます。

次にProcessing側のプログラムを書きます。Arduinoのプログラムで書いたように、Processingからは、合図用のデータを1個送る必要があります。そうすれば、Arduinoから3個のデータが送られてくるので、Processingのバッファ領域にデータが3個貯まったときに、読み込む処理をさせればいいということになります。今回はx、y、zの3個の値なので3Dの図形を動かすプログラムにします。

Processing側のプログラム:
//シリアルライブラリを取り込む
import processing.serial.*;
//シリアルのオブジェクトmyPortを用意
Serial myPort;

//x,y,zの3個の変数を用意
int x=0;
int y=0;
int z=0;

void setup(){
  //3D用の画面サイズとして設定
  size(255,255,P3D);
  //シリアルポートの設定(「A4001Kjl」は基盤により異なる)
  //Windowsの場合は、"COM5"などとなる(前回ブログを参照)
  myPort=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
  //3D図形の塗りは無し(ワイヤーフレーム描画)
  noFill();
}

void draw(){
  //背景色を白に設定
  background(255);
  //3Dの位置座標にx,y,z入れる
  translate(x,y,z);
  //一辺50のボックス(立方体)を描画
  box(50);
}

//シリアル通信処理
void serialEvent(Serial p){
  //Arduinoから送られてきたデータが
  //3個(2より多い)の場合
  if(myPort.available()>2){
    //x,y,zの順番でデータを読み込む
    x=myPort.read();
    y=myPort.read();
    z=myPort.read();
    //読み込み後、合図データ送信
    myPort.write(65);
  }
}

//マウスが押されたら通信開始とする
void mousePressed(){
  //念のためバッファ領域を空にする
  myPort.clear();
  //とりあえず65という合図用データを送る
  myPort.write(65);
}

以上が、Processing側のプログラムです。3Dの場合は、size()の括弧内に画面幅、高さ以外に「P3D」を書き足します。ワイヤーフレームで描画した方が、今回の場合分かりやすいと思うので、noFill()をつかって塗り面を無しにしました。
void draw(){...}内のtranslate()は、その後に描画される3D図形の座標値をいれます。translate()に含まれる値が変化することで、3D図形は移動します。box()は、3Dの直方体を描画します。box(50,100,80)というように3つ値を入れれば、幅、高さ、奥行きをそれぞれ定義できます。box(50)の場合は、各辺が50の立方体になります。
シリアル通信の部分は、まずmousePressed()でマウスを押したときに、myPort.clear()でProcessingのバッファ領域内に貯まっているデータをとりあえず空にします(初期化)。そして通信を開始するきっかけとなる合図のデータをmyPort.write(65)で送ります。65という値を送っていますが、0〜255の値であれば何でも構いません。Arduino側は送られてくるデータの個数を数えるのであって、データの中身の値については、何でもいいことになります。つまり、合図用に何らかのデータを1個送ればいいということです。一旦合図用のデータがProcessingから送られれば、次にArduinoがそのデータを受取り、そして3個のデータを送り返してきます。void serialEvent(Serial p){...}内のif(myPort.available()>2){...}内では、Arduinoから送られて来たデータがProcessingのバッファ領域に3個貯まったら(2個より多くなったら)myPort.read()で3回読み込み、x,y,zの3個の変数にそれぞれ値を入れていき、それらのデータは、box()の3D座標になるtranslate()に代入され、box()が動きます。



もう一度、手順をはじめから書くと、

(1)Arduinoの電源がオンになり、Arduinoのプログラムが開始。
(2)Processingのプログラムを立ち上げる。
(3)Arduinoは、Processingからの合図用データを待つ。
(4)Processing側でマウスを押す(通信開始)。
(5)Processingのバッファ領域を一旦空にする(初期化)。
(6)Processingから合図用データが1個送られる。
 *以下、Arduino上での処理
(7)Arduinoのバッファ領域に合図用データが一旦貯められる。
(8)Arduinoのバッファ領域内のデータの個数を数える。
(9)データの個数が1個以上のとき、以下の処理を実行。
(10)Arduinoから、新たなxの値を送信する。
(11)Arduinoから、新たなyの値を送信する。
(12)Arduinoから、新たなzの値を送信する。
(13)バッファ領域内の合図用のデータを読み込む。
(14)読み込んだ結果、Arduinoのバッファ領域が空になる。
(15)次の合図用データがバッファ領域に貯まるまで待機。
 *以下、Processing上での処理
(16)Processingのバッファ領域にデータが貯められる。
(17)Processingのバッファ領域内のデータの個数を数える。
(18)データの個数が3個になったら、以下の処理を実行。
(19)xの値として1番目のデータを読み込む。
(20)yの値として2番目のデータを読み込む。
(21)zの値として3番目のデータを読み込む。
(22)その結果、Processingのバッファ領域が空になる。
(23)Processingから合図用データが1個送られる。
(24)次の3個のデータがバッファ領域に貯まるまで待機。
 *その後は(7)へ戻り処理を繰り返します。

Serial.available()
myPort.available()を使うことで、バッファ領域内に貯められているデータの個数を数え、その個数をもとにデータを送受信するタイミングを制御することができます。これ以外にも、送られる複数のデータの先頭部分や最後の部分に「.」(ピリオド)などの特定のデータを付け加えて送ることで、読み込み開始地点や読み込み終了地点を知らせる方法もあります。
シリアル通信を使うことで、コンピュータの内側と外側の世界をつなぐことができます。今後も様々な表現に応じて「シリアル通信」の技術は、繰り返し登場してきます。今回一気に理解できなくても、徐々に使いこなしていくことで、身についていくと思います。


関連:
Arduino-Processing シリアル通信1」(一つの値を送る/非同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信3」(大きな値を複数送る)
Processing-Arduino シリアル通信4」(ProcessingからArduinoを制御する)
Arduino-Processing シリアル通信5」(複数の値を文字列で送信する)
Arduino-Processing シリアル通信6」 (2台のArduinoとProcessingを通信させる)

5/26/2008

Arduino-Processing シリアル通信1

【変更】以下はArduino1.0までのシリアル通信に対応したプログラム内容です。
Arduino2.0使用の際は、バイト送信する場合は、
Serial.print(value,BYTE);
のかわりに、
Serial.write(value);
を使用してください。

今回はシリアル通信を用いて、Arduino基盤に接続した入力装置(可変抵抗器)で、Processingで描かれた図形を動かしてみます。
Arduino側のシリアル通信は、前回のモニタリングで使用したときのような感じです。Processingにおいても、シリアル通信の設定が必要になります。

通信の流れとして:
Arduino基盤に接続した入力装置からの値をanalogRead()で読み取る。
その値をSerial.print()でProcessing側に送る。
Processing側で、その値をSerial.read()で読み取る。
Processing上の図形の座標値に入れる。
という感じです。

まずは、Arduino側からプログラムしていきます。今回入力装置となる可変抵抗器を基盤に接続します。


Arduino側のプログラム:
int val; //読み取り値の変数を用意

void setup(){
  Serial.begin(9600);
}
void loop(){
  //アナログ入力0番ピンの値を読み取り(0~1023)
  //4で割った値を変数valに入れる(0~255)
  val=analogRead(0)/4;
  //シリアルでvalを送信
  Serial.write(val);
  //1秒間に20回ループ(0.05sec)とする
  delay(50);
}

上記プログラムの説明:
Processingと通信する場合、Serial.write()で一度に送ることができる値は、0〜255までの数値になるので、analogRead()で読み取った値(0〜1023)を4で割って、最大値が255になるようにスケーリングした値をvalに代入し送信します。delay(50)程度にし、一秒間に20回送信することにします。Arduino側から一方的にデータを送り続けるので、あまりにも多くのデータを送りすぎると、Processing側での受取処理が追いつかなくなり、反応に時差がでることがあります。

Processingのプログラムについて:
Processing側のプログラムでは、シリアル通信(Serial)はライブラリに含まれており、必要に応じてその機能を取り込む(import)必要があります。
Processingのsketchを開いたら、メニューバーのSketch>Import Library>serialを選択します。そうすると、プログラムを書く欄に自動的に「import processing.serial.*;」という一文が追加されます。これによって、シリアル機能が導入されます。そして以下のようにmyPort(名前は任意)というシリアルのためのインスタンスを用意し、シリアルポート、通信速度を設定します。Processingのシリアル通信についての説明は、Processing画面のメニューバーでHelp>Referenceへ行き、そのページ内の上部のLibrariesをクリックし、さらにページ内のCore Librariesの欄にSerialという項目があるので、そこをクリックします(Processingのサイトにも同じSerialのページがあります)。

Processing側のプログラム:
//シリアルライブラリを取り入れる
import processing.serial.*;
//myPort(任意名)というインスタンスを用意
Serial myPort;

int x; //図形のX座標の変数を用意

void setup(){
  //画面サイズ
  size(256,256);
  //シリアルポートの設定
  myPort=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
}

void draw(){
  //背景色を白に設定
  background(255);
  //XY座標を(x,100)に設定し、
  //幅50、高さ50の円を描画
  ellipse(x,100,50,50);
}

void serialEvent(Serial p){
  //変数xにシリアル通信で読み込んだ値を代入
  x=myPort.read();
}

上記プログラムの説明:
初期設定のsetup()内の「myPort=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);」の設定において、MacOSXの場合は「/dev/tty.usbserial-********」の箇所の********の部分は使用しているArduino基盤によって異なります。Arduino画面のメニューバーのTools>Serial Portのなかから使用している基盤のシリアルポートと同じものを書いて、両端を「"」マークで括ってください。Windowsの場合は、「COM*」(*は番号)のようにポートが表示されるので、同様に「COM*」を「"」マークで括ってください。
通信速度の「9600」は、通常この設定で構いません。

シリアル通信が行われるたびに、serialEvent()内のx=myPort.read()によってArduino基盤から送られて来た値を読み込み、変数xに代入され、最終的にellipse()のX座標に代入されます。Arduinoから送られてくる値は0〜255であるため、Processing上のellipse()のX座標の移動範囲も0〜255(256段階)となります。それに合わせて、Processingの画面幅を256に設定しました。つまり、ellipse()を1ピクセルずつ左右に動かすことができます。


関連:
Arduino-Processing シリアル通信2」(複数の値をバイトで送る/同期通信)
Arduino-Processing シリアル通信3」(大きな値を複数送る)
Processing-Arduino シリアル通信4」(ProcessingからArduinoを制御する)
Arduino-Processing シリアル通信5」(複数の値を文字列で送信する)
Arduino-Processing シリアル通信6」(2台のArduinoとProcessingを通信させる)

Arduino 圧電スピーカ

圧電スピーカは、ブザー(音が鳴る)として機能する一種のスピーカです。圧電スピーカについている2本の線に、そのまま電気を流しても音は鳴りません。音を出すためには、高速でオンとオフを繰り返し(パルス)、内部の金属板を振動させます。プログラム上では、digitalWrite()を用いてHIGHとLOWの切替を行い、delay()によってオン/オフの時間の間隔(周波数)をつくりだすことで制御することができます。
以下では、前回使用した可変抵抗器を用いて、可変的に周波数をつくりだし、圧電スピーカを鳴らす実験をしてみます。

Arduinoのプログラム:
int val=0;

void setup(){
pinMode(13,OUTPUT);
}

void loop(){
val=analogRead(0);
digitalWrite(13,HIGH);
delay(val);
digitalWrite(13,LOW);
delay(val);
}

音はでますが、あまりいい音ではないので、周波数を細かくするために、delay()のかわりにdelayMicroseconds()を用いて同様にテストしてみます。delayMicroseconds()は、delay()の1/1000の時間、つまり1マイクロ秒(1/1000000秒)が単位となります。高音領域が高周波になりすぎないように、valに予め+500のオフセットを設け、500〜1523までの値がdelayMicroseconds()に入ることにします。ちなみに、Arduinoサイトの説明によると、delayMicroseconds()の()内に入れられる数値は、最大で「16383」であり、delayMicroseconds(0)というように()内に「0」を入れると0秒ではなく、それよりも長い時間(~1020マイクロ秒)ディレイしてしまうと書いてあります。設定するときは注意して下さい。

int val=0;

void setup(){
pinMode(13,OUTPUT);
}

void loop(){
val=analogRead(0)+500;
digitalWrite(13,HIGH);
delayMicroseconds(val);
digitalWrite(13,LOW);
delayMicroseconds(val);
}

圧電スピーカは、音を鳴らす以外にセンサとして使うこともできます。圧電スピーカとLEDを直結し、圧電スピーカを指先でたたいて衝撃を与えると電源がなくてもLEDが一瞬発光します。

この発電原理を利用して、圧電スピーカをマイクのような衝撃センサとして用いることが可能となります。圧電スピーカからの電圧をanalogRead()で読み取って、どの程度の値が得られるかテストしてみます。
読み取り値などを画面に出力するには、シリアル通信機能を用いて以下のようなプログラムを付け足し、プログラムが開始したら、Arduinoの画面上のSerial Monitorボタンを押します。

初期設定のSerial.begin(9600)は、通信速度を9600に設定し、シリアル通信を開始するという意味です。Serial.println(val)は、モニタリングするためにvalの値をシリアル通信を用いて出力します。Serial.println()は、データを毎回改行しながら出力します。もうひとつSerial.print()という、改行せずにそのままデータを送り出すものもあります。今回はモニタリングするために、改行して出力したほうが見やすいので、Serial.println()の方を使います。

圧電スピーカに衝撃を与えると値が変化することが確認できます。出力される値が10以上であれば、衝撃を加えたことに反応しているとみなすこととします。以下に、圧電スピーカからの衝撃によってオン/オフするLEDのプログラムを書きます。boolean型の変数を用いて、以前Processingで用いたトグルスイッチのプログラムを付け足します。boolean型の変数checkがfalseの時はLEDがオフの状態、checkがtrueの時はオンの状態とします。
int val=0;
boolean check=false;

void setup(){
//13番ピンをLEDの出力に設定
pinMode(13,OUTPUT);
}

void loop(){
//圧電スピーカ0番ピンの読み取り値
val=analogRead(0);
//読み取り値が10以上の場合
if(val>10){
if(check==false){ //LEDオフ状態の場合
digitalWrite(13,HIGH); //オンに切替
check=true; //オンの状態として記憶
}else{ //LEDオン状態の場合
digitalWrite(13,LOW); //オフに切替
check=false; //オフの状態として記憶
}
}
delay(100);
}


Arduinoのサイト内のLearning/Examples/SoundページにもPlay Melodies with a Piezo Speakerという名前で、圧電スピーカのサンプルが掲載されています。


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