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2008年用ですが、部分的に内容を更新しています(2010/06/14)。
また、[建築農業工作ゼミ2009-2010]とも連動していますので、そちらにも幾つかサンプルがあります。
:

10/30/2008

次回授業(11/01)について

次回の授業(11/01)では、今後制作する作品についてのチュートリアル/ディスカッションを行いたいと思います。
各自の作品についてのアイデア、スケッチ、ダイヤグラム、写真、参考文献など、作品の方向性を示すものを持参してください。

尚、来週11/08は休みです。

10/25/2008

Processing-Arduino ネットワーク制御

今回は、ProcessingのNetworkライブラリを使って、ネットワーク越しに複数のクライアントコンピュータから、サーバコンピュータに接続されたArduinoのサーボとLEDを操作することにします。ネットワーク上では、情報を提供する側となるサーバコンピュータに複数のクライアントコンピュータが接続されているような状態になります。



まず、上図のようにローカルネットワーク内での通信を行ってみます(後半にローカルネットワーク外からの通信サンプルを記載しておきました)。

ひとつのクライアントからサーバへ信号が送られると、サーボの角度やLEDの点灯状態が変化しますが、サーバはクライアントからの信号を受け取るだけではなく、現在のサーボの角度やLEDの状態(オン/オフ)についての情報も各クライアントへ送り返します。そうすることで、各クライアントは現在のサーボやLEDの状態を把握しながら制御することができます。
サーバコンピュータとクライアントコンピュータはインターネット越しに通信され、サーバコンピュータとArduinoはシリアル通信されます。


(Processingの画面:画面上半分がサーボ用スライダ、下半分がLED用ボタン)

Processingの画面には、上半分がサーボ用のスライダ、下半分にLED用のボタンを配置することにします。スライダは0~255の値を送信し、ボタンは押すとオン(緑)の状態になり、もう一度押すと白(オフ)に戻ります。あるクライアントがボタンを押せば、サーバとその他のクライアントのボタンの色も同時に変わります。サーバからのコントロールも可能です。

Arduinoでは、サーボの値とLEDの値をサーバコンピュータからシリアル通信を通してデータ受信します。以下のプログラムでは、サーボは3番ピンと接続しPWMで制御することにします(サーボ制御の方法については、「Arduino サーボ制御」を参照して下さい)。LEDは13番ピンに接続しデジタル出力でオン/オフ制御することにします。


Arduinoのプログラム:

//サーボ用変数を用意
int servoVal;
//LED用変数を用意
int ledVal;

void setup(){
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
//13番ピンをデジタル出力に設定
pinMode(13,OUTPUT);
}

void loop(){
//データが二個きたら(1個より多ければ)
if(Serial.available()>1){
//サーボの回転値として読み込む(0~255)
servoVal=Serial.read();
//LEDの点灯状態(0:OFF,1:ON)
ledVal=Serial.read();
//合図用データ送信
Serial.print('A');
}
//3番ピン(PWM):アナログ出力(サーボ)
analogWrite(3,servoVal);
//13番ピン:デジタル出力(LED)
digitalWrite(13,ledVal);

//0.02秒周期にする
delay(20);
}



「サーバのプログラム」:
サーバ側のプログラムでは、ネットワークとシリアル通信の二つのライブラリが必要となります。スライダは横方向(X座標)に動かし256段階あるので、画面サイズの横幅も256ピクセルにしてあります。ドラッグのためのプログラムは、mouseDragged()を使わず、startDrag(名前は任意)というフラグを用意し、mousePressed()でマウスを押したときにフラグがtrueになり、ドラッグが開始されたことになり、mouseReleased()でマウスが放されたときにドラッグ終了になり、同時にフラグもfalseになるようにしておきます。つまりフラグstartDragによって、ドラッグしているかどうかを判別することになります。ドラッグしていなくてもマウスボタンを押し続けている限りドラッグ中と見なされるので、その間データを送信し続けます。
あまり高速での通信ができないためフレームレートを10にしています。環境に応じてフレームレートを調整してみて下さい(サーバとクライアントのプログラム両方)。
サーバとクライアントの間では、文字列で送受信しています。文字列に含まれるデータは:

サーボの値 + コンマ + LEDの値 + 改行コード

であり、たとえば

"155,1\n"

のような連続した文字列になります。サーボの値は0~255の数値、LEDの値は0か1になり、その間をコンマで区切り(デリミタ)、最後の部分に「\n」改行コードを付け加えて送信します。文字「\n」は、アスキーコード表で十進数の「10」に相当します。受信の際には、readStringUntil(10)を使うことで、改行コード「\n」つまり「10」までをひとまとまりのデータとして読み込み、その文字列データをtrim()で改行コードを取り除き、split()でコンマをもとに配列に分解し、int()で文字列の数値を整数化し、それぞれの値に代入します(文字列を分解して数値化する方法は「Arduino-Processing シリアル通信5」でも説明してあります)。
サーバのプログラムが開始したら、「s」キーを押してArduinoとのシリアル通信を開始します。

Processing サーバのプログラム:

//ネットワークライブラリの取り込み
import processing.net.*;
//シリアル通信ライブラリの取り込み
import processing.serial.*;

//サーバのインスタンス
Server server;
//クライアントのインスタンス
Client client;
//シリアル通信のインスタンス
Serial port;

//サーボの変数
int servoVal;
//LEDの変数
int ledVal;
//ドラッグ中かどうかのフラグ
boolean startDrag=false;

void setup(){
//画面サイズ
size(256,200);
//フレームレートを遅めに設定
frameRate(10);
//サーバの設定(ポート:12345)
server = new Server(this, 12345);
//シリアルポート設定
port=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
//矩形描画を中央配置に設定
rectMode(CENTER);
//外形線なし
noStroke();
}

void draw() {
//クライアントからのデータ受信
client = server.available();
//クライアント受信内容が空ではないとき
if (client != null) {
//文字列データの読み込み(改行コードまで)
String input=client.readStringUntil(10);
//文字列データの改行コードを取り除く
input=trim(input);
//文字列データを整数の配列に変換
int[] data = int(split(input, ','));
//配列の最初の値をサーボ変数に代入
servoVal=data[0];
//配列の次の値をLED変数に代入
ledVal=data[1];
}

//ドラッグ中
if(startDrag){
//サーボ変数にマウスX座標値を代入(最小値:0、最大値:255)
servoVal=constrain(mouseX,0,255);
//クライアント側へ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
server.write(servoVal+","+ledVal+"\n");
}

background(0);//背景(黒)

fill(80);//スライダ溝の塗色(グレー:80)
rect(width/2,50,width,50);//スライダ溝の矩形描画
fill(255);//スライダの塗色(白)
rect(servoVal,50,10,50);//スライダの矩形描画

//LEDボタンの色切替(0:オフ,1:オン)
if(ledVal==1){ //オンの場合
fill(0,255,0);//緑にする
}else{ //オフの場合
fill(255); //白にする
}
//LED用のボタン描画
rect(width/2,150,50,50);
}

//シリアル通信処理
void serialEvent(Serial p){
//合図用データが1個来た場合(0個より多い場合)
if(port.available()>0){
//合図用データを読込んバッファを空にする
port.read();
//サーボの値とLEDの値をシリアル通信で出力
port.write(servoVal);
port.write(ledVal);
}
}

//キーを押した場合
void keyPressed(){
//「s」キーの場合
if(key=='s'){
//シリアル通信開始用データ送信
port.write(servoVal);
port.write(ledVal);
}
}

//マウスボタンを押した場合
void mousePressed(){
//LED用のボタン矩形内にマウスがある場合
if(mouseX>width/2-25 && mouseX<width/2+25 && mouseY>125 && mouseY<175){
//LED点灯切替処理
if(ledVal==0){//オフの場合
ledVal=1; //オンにする
}else{ //オンの場合
ledVal=0; //オフにする
}
//クライアント側へ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
server.write(servoVal+","+ledVal+"\n");
}
//スライダ部分の場合
if(mouseY>25 && mouseY<75){
//ドラッグのフラグをtrueにする
startDrag=true;
}
}

//マウスを放した場合
void mouseReleased(){
//ドラッグのフラグをfalseにする
startDrag=false;
}




「Processing クライアント側のプログラム」:

//ネットワークライブラリを取り込む
import processing.net.*;
//クライアントのインスタンス
Client client;

//サーボ用変数を用意
int servoVal=127;
//LED用変数を用意
int ledVal=0;
//ドラッグ中かどうかのフラグ
boolean startDrag;

void setup() {
size(256, 200);
frameRate(10);
//サーバのIPアドレス、ポートの設定
//(「10.0.1.2」の部分は適宜変更)
client = new Client(this, "10.0.1.2", 12345);
rectMode(CENTER);
noStroke();
}

void draw(){
//サーバからのデータ受信
if (client.available() > 0) {
String input = client.readStringUntil(10);
input = trim(input);
int[] data = int(split(input, ','));
print(data);
servoVal=data[0];
ledVal=data[1];
}

//ドラッグ中の処理
if(startDrag){
servoVal=constrain(mouseX,0,255);
client.write(servoVal + "," +ledVal + "\n");
}

//描画処理
background(0);
fill(20);
rect(width/2,50,width,50);
fill(255);
rect(servoVal,50,10,50);
if(ledVal==1){
fill(0,255,0);
}else{
fill(255);
}
rect(width/2,150,50,50);
}


void mousePressed(){
if(mouseX>width/2-25 && mouseX<width/2+25 && mouseY>125 && mouseY<175){
if(ledVal==0){
ledVal=1;
}else{
ledVal=0;
}
//サーバへ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
client.write(servoVal + "," +ledVal + "\n");
}

if(mouseY>25 && mouseY<75){
startDrag=true;
}
}

void mouseReleased(){
startDrag=false;
}



クライアント側のプログラムでは、setup(){...}内でサーバのIPアドレスを指定する必要があります。上のプログラムでは「10.0.1.2」になっていますが、適宜変更してください。通常ローカルネットワークであれば「127.0.1.2」や「192.168.1.2」、あるいはルーターやAirMacなどを使っていれば、「10.0.1.2」などになっているかもしれません。サーバに設定したコンピュータのIPアドレスを調べるには、MacOSXであれば、「システム環境設定>ネットワーク」を開き、AirMacを使用している場合は「AirMac」を選択、ケーブル接続している場合は「内蔵Ethernet」を選択し、「TCP/IP」タグを選択すると2段目あたりに「IPアドレス:10.0.1.2」などと表示されています。Windowsの場合は、コマンドプロンプトを開いて、「ipconfig」と打ってリターンすれば、幾つかの情報が現れ「IP Address....10.0.1.2」などと表示されるはずです。



「外部からの接続方法」:
ルータを通してインターネットに接続している場合、ローカルネットワーク外から通信するには、ルータのポートマッピングやサーバコンピュータのファイヤーウォールの解除設定する必要がでてきます。
通常、インターネットプロバイダからグローバルIPアドレスがひとつ与えられています。各自のパソコンからグローバルIPアドレスを調べるには以下のようなサイトで調べることができます。
http://dog.tele.jp/lookup.php
「あなたのパソコンのグローバルIPアドレスは」と書かれている場所に表示されるはずです。
あるいは、
http://www.ugtop.com/spill.shtml
のサイトの「現在接続している場所(現IP)」の欄に同じアドレスが表示されるはずです。
このグローバルIPアドレスをメモしておきます。


「接続例」:
以下は、ローカルネットワーク内のひとつのコンピュータをサーバに設定し、ローカルネットワーク外から通信をするための接続例です。例えば、仕事場や学校のコンピュータから、自宅にあるサーバに設定したコンピュータにアクセスする方法です。



上画像では、ADSLモデム-ルータを使用してインターネットに接続しており、さらにそのADSLモデム-ルータにAirMacをケーブルで接続しています。そして複数あるコンピュータは、AirMacの無線通信でインターネットに接続しています。
このネットワークのグローバルIPアドレスは、先ほど調べた方法により「219.196.xxx.xxx」になっています(実際のアドレスに置き換えてください)。「モデム-ルータ」によって、グローバルIPアドレスがプライベートIPアドレスに変換され、複数のプライベートIPアドレスに分けられます(「192.168.xxx.xxx」のようなアドレス)。さらに、AirMacにおいてもルータ機能があるため、さらに細かなプライベートIPアドレスに分けられます(「10.0.1.xxx」のようなアドレス)。
ここでは、二つのルータによって二段階にIPアドレスが割り振られていますが、AirMacを「ブリッジモード」に切り替えることで、以下のようにAirMacのルータ機能を使わないネットワークに変更することができます。



「ブリッジモード」:
「ブリッジモード」は、コンピュータから「AirMacユーティリティ」を開いて変更することができます(ただし、変更できる権限が必要です)。「ブリッジモード」にすることで、AirMacはIPアドレス(「10.0.1.xxx」のようなアドレス)を割り振らなくなるので、元々の「モデム-ルータ」が割り振るアドレスを使うことにします(「192.168.xxx.xxx」のようなアドレス)。ただし、このままだと「モデム-ルータ」が自動的にプライベートIPアドレスをそれぞれのコンピュータに割り振ってしまうので、使用しないコンピュータなどがあるときは、プライベートIPアドレスが入れ替わってしまうことがあります。
そのため、サーバにしたいコンピュータには固定したIPアドレスを与えます。以下のように「コンピュータC」に固定のIPアドレス「192.168.3.10」を与えて、サーバとして機能させることにします。



「固定IPアドレスにする」:
各コンピュータ上のIPアドレス設定では、「DHCPサーバを参照」や「DHCPサーバを使用」というように、ルータから自動的にIPアドレスが割り振られる設定になっていることが多いと思います。MacOSXの場合、「システム環境設定>ネットワーク」へ行き、AirMac(あるいはEthernet:現在インターネットに接続している方法を選択)を選択し、「TCP/IP」の項目内で設定できます。サーバ用に使うコンピュータにおいては、このIPアドレス設定の部分を、「手入力」に変更し、指定したIPアドレスを使うように設定し直します。
Windows XPの場合は、「コントロールパネル>ネットワーク接続」で、使用しているネットワーク接続(「ワイヤレスネットワーク接続」など)のプロパティを右クリックで開き、「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選択しプロパティボタンを押し、「IPアドレスを自動的に取得する」に設定されている部分を「次のIPアドレスを使う」に切り替えて、以下の設定を入力していきます。

上図の場合は、ルータのIPアドレスが「192.168.3.1」になり、AirMacが「192.168.3.2」、以下に続く各コンピュータは「192.168.3.3」、「192.168.3.4」というように最後の数値がひとつずつ増えていきます。IPアドレスが重ならないように、固定するIPアドレスを「192.168.3.10」に設定しておきます(1~254まで可)。サブネットマスクは自動的に「255.255.255.0」になるはずです。ルータのIPアドレス(ゲートウェイ)は、「DHCPサーバを参照」の時と同じなので「192.168.3.1」を記入します。「DNS」あるいは「DNSサーバ」の項目については、先ほど調べたグローバルIPアドレスである「219.196.xxx.xxx」を記入します(グローバルIPアドレスは、実際に調べたアドレスを入れてください)。サーバ用のコンピュータの設定は以上です。


「ポートマッピング設定」:
もうひとつしなければならないことは、ポートマッピング(ポート転送/ポートフォワーディング)の設定です。回線に接続しているルータ自体の設定を変更する必要があります。通常コンピュータ上のブラウザからルータのアドレスにアクセスし操作するようになっています(各ルータのマニュアルを参照してください)。大抵の場合は、「詳細設定」のような項目に入っていると思います。
プロトコル、ポート、転送先のIPアドレス(先ほど固定したサーバ用のIPアドレス)を入力する必要があります。プロトコルは「TCP/UDP」を選択し、WAN側とLAN側のポートは同じものを入れておきますが、今回の場合Processingのコードでポートを「12345」に設定しておいたので、それを入力することにします(「12345」〜「12346」までというように範囲指定する入力にしておきます)。転送先IPアドレスは、固定した「192.168.3.10」を入力しておきます。ポートマッピングの設定は以上です。尚、ポートは、0~65535までの番号が入れられますが、0~1023までは使用目的が決められているので、あまりつかわない方がいいと思います。

ポートマッピングによって、ポート「12345」(あるいは「12346」)を通してローカルネットワーク外からグローバルIPアドレス「219.196.xxx.xxx」に送られた信号は、サーバ用コンピュータのプライベートIPアドレス「192.168.3.10」に転送されることになります。

Processingのクライアント用のプログラム内の、

client = new Client(this, "219.196.xxx.xxx", 12345);

IPアドレス部分をグローバルIPアドレス「219.196.xxx.xxx」(実際に調べたアドレスを入れてください)に書き換えればローカルネットワーク外から通信できるようになります。

参照:YahooBBのモデムのポート転送設定方法


「外部から通信できない場合」:
ファイヤーウォールによって、外部からの通信をブロックしている場合があるので、ファイヤーウォール設定を解除して通信してみてください。ただし、セキュリティ上危険になるので注意してください。

尚、同じローカルネットワーク内にある別のコンピュータからは通信できないので(例えば上図の「コンピュータA」とサーバの「コンピュータC」との通信はできない)、異なるグローバルIPアドレス(外部)から通信してください。「コンピュータA」と「コンピュータC」を通信させる場合は、前半で説明したローカルネットワーク内での通信方法を利用してください。



10/23/2008

Arduino書籍:「Getting Started with Arduino」


Getting Started with Arduino

Arduinoの本「Getting Started with Arduino」が、日本のアマゾンからも購入(予約購入)できるようになりました。

その他、Arduino関連の本であれば、主に以下のようなものがあります。
・「Making Things Talk
・「Physical Computing: Sensing and Controlling the Physical World with Computers

Arduino-Processing BlueTooth通信+曲げセンサ

以前、ワイヤレス通信としてXbeeモジュールを用いましたが、もう一つワイヤレス通信として「BlueTooth」を用いる方法があります。今回は、SparkfunのBlueToothモジュール「BlueSmiRF Gold」を使います(国内ではストロベリーリナックスで販売)。Xbeeは3.3V電源を使用しますが、「BlueSmiRF Gold」は3.3V〜6.0Vまでの電源を使うことができるので、そのままArduinoにも接続しやすい仕様となっています(ただし、日本において、「BlueSmiRF Gold」は技術基準適合証明を受けていないため、実験や開発用のみで使用しなければならないようです)。Xbeeの場合は最低でも二つのモジュールを用意しなければ通信実験できないのですが、多くのノートパソコンにはBlueToothが搭載されているので、一つのBlueToothモジュールがあれば、とりあえずコンピュータから送受信することができます。


(上画像:「BlueSmiRF Gold」/from Sparkfun


今回は、Arduino基板に曲げセンサと「BlueSmiRF Gold」を接続し、コンピュータのBlueTooth機能を利用して、Processingとワイヤレスでシリアル通信してみます。曲げセンサについては、2本を背中合わせに貼り合わせて、まっすぐな状態から両方向に曲げて出力値が変化するように加工します。


「コンピュータとのBluetooth接続設定」
まず、「BlueSmiRF Gold」とコンピュータのBluetoothの接続設定を行います。
「BlueSmiRF Gold」には以下のように6本の端子があります。

CTS:送信要求端子(非接続またはRTS端子へ)
PWR:電源端子(Arduino 5V端子へ)
GND:グランド端子(Arduino GND端子へ)
TX :送信端子(Arduino RX:0番端子へ)
RX :受信端子(Arduino TX:1番端子へ)
RTS:受信準備完了端子(非接続またはCTS端子へ)

「BlueSmiRF Gold」のPWR端子とGND端子をArduinoの5V端子とGND端子に接続し、USBを通して電源供給します(あるいは、外部電源でもかまいません)。そうすれば、「BlueSmiRF Gold」の赤色のLEDが点滅し始めます。他の端子については、今のところ接続する必要はありません。

MacOSXの場合、
・メニューバー右端のBluetoothアイコンをクリック。
・「Bluetooth:入」を選択し機能をオンにする。
・さらに「Bluetoothデバイスを設定...」を選択する。
・「Bluetooth設定アシスタント」の画面が現れる。
・「続ける」を押していき、「任意のデバイス」を選択。
・デバイスが検索されたら「パスキーオプション」を押す。
・「このデバイスではパスキーを使用しない」を選択し「OK」を押す。
・「続ける」を押していき、最後に「終了」を押して完了。

Windowsの「Bluetooth設定」の場合、
アプリケーションを立ち上げて「新しい接続」を押します。「新しい接続の追加ウィザード」の画面で、「エクスプレスモード」を選び「次へ」を押し、「FireFry-D39A」というようなデバイス名で「BlueSmiRF Gold」を認識します。「次へ」を押すとポートが「COM40」あたりに設定されます。設定されれば以下のような画面になります。

「FireFry-D39A」を選択しダブルクリックすれば「接続」しますが、ここでは「接続」せず「ハイパーターミナル」上で「接続」することにします。

Bluetoothが内蔵されていないコンピュータの場合は、以下のようなBluetooth USBアダプタをコンピュータに接続する必要があります。




「Zterm/ハイパーターミナルの設定」
「BlueSmiRF Gold」の赤色のLED点滅が緑色のLED点灯に変われば通信接続されたことになります。
ただし「BlueSmiRF Gold」のデフォルトの通信速度(ボーレート)が115200bpsであるため、9600bpsに設定し直すことにします。そのためには、「BlueSmiRF Gold」の内部設定をATコマンドによって変更します。ATコマンドを使うには、MacOSXなら「ZTerm」、Windowsなら「ハイパーターミナル」などのターミナルアプリケーションを使って送信すると便利です。
「BlueSmiRF Gold」を電源に接続し、コンピュータのBluetooth接続設定をした後、「ZTerm」(MacOSX)あるいは「ハイパーターミナル」(Windows)を起動します。

MacOSXの場合:
ZTermのDial>Directry...を選択すると以下の画面が現れます。

「Dial Directory」画面上の「New」ボタンを押すと以下のような別画面が現れます。

「Service Name:」の欄に任意名を記入します。「Local Echo」にチェックを入れます。その他は上のような設定でも大丈夫です。「OK」ボタンを押します(「Dial Directory」画面上の中央上の「Connection」ボタンでこの画面に戻ることができます)。
「Settings>Terminal...」あるいは「Dial Directory」画面上の「Terminal」ボタンを押すと以下の画面が現れます。

上のような内容で設定し「OK」ボタンを押す。
次に、「Settings>Modem Preferences...」を選択すると以下の画面が現れます。

ここで、画面上段の「Serial Port:」がBluetoothのシリアルポート(「/dev/tty.FireFly-D39A-SPP-1」など)になっているか確認してください(なっていなければ選択する)。「OK」ボタンを押し、「Dial Directory」画面に戻ります。「Dial」ボタンを押して通信接続します。接続中は、「BlueSmiRF Gold」の緑色のLEDが点灯します。接続されない場合は、「BlueSmiRF Gold」の電源を入れなおすか、「Zterm」を再起動してみてください。

Windowsの場合:
ハイパーターミナルを立ち上げます。

この画面上で、「名前:」に接続名(任意名)を記入し、「OK」を押します(次回接続するときは、「キャンセル」を押し、メニューバーの「ファイル>開く」から保存した設定ファイルを選択してください)。


「接続方法:」の欄で、先ほどの「Bluetooth設定」で割り当てられたポート「COM40」を選択し「OK」を押します。


「ビット/秒:」を「9600」、「フロー制御」を「なし」、「適用」と「OK」を押します。
この設定ウィンドウが閉じると自動的に接続が開始されますが、メニューバーの「通信>切断」で通信を中断し、「ファイル>プロパティ」をクリックし、以下の画面を出します。


「ASCII設定」ボタンを押すと、さらに以下の画面が現れます。


上画像のようにチェックをいれます。「OK」を押して戻ります。
メニューバー「通信>電話」をクリックし、通信を開始します。
通信が開始されれば、「BlueSmiRF Gold」の緑のLEDが点灯します。
後は、ATコマンドを入力していきます。


「ATコマンド入力/通信速度の設定変更」
コンピュータ側のBluetoothと接続され、「BlueSmiRF Gold」の緑色のLEDが点灯すれば、以下のようにATコマンドを入力していきます。

$$$

ドルを三回(最後にリターンキーは押さない)を入力すると「CMD」という返事が表示され、ATコマンドモードに切り替わり、緑のLEDが点灯しつつ赤いLEDが点滅し始めます。
注意しなければいけないことは、「BlueSmiRF Gold」にはタイマー機能(デフォルト:60秒)があり、電源を入れてから60秒以内に「$$$」を入力する必要があります。時間切れになると、赤いLEDの点滅速度が遅くなります。「CMD」が表示されなかったり、赤いLEDが高速に点滅しないときは、一旦通信を切断し、「BlueSmiRF Gold」の電源を切って再接続した後、60秒以内に再度「$$$」を入力してみてください。あるいは、以下のように、このタイマー機能の時間を設定し直すことも可能です。

ST,100

を入力し「リターンキー」を押せば、タイマーを100秒に設定することができます(「ST,」の後に数値を入れることで制限時間を設定できます)。ただし、「ST,」の後に「0」を入力すると「遠隔設定不可」、「255」を入力すると「時間制限なし」になります。

通信速度(ボーレート)を9600に変更するには、

SU,96

を入力し「リターンキー」を押します(「SU,」の後にボーレートの最初の2桁を入力、9600の場合「96」、4800の場合「48」を入力)。「AOK」が表示されれば、変更されたことになります。変更内容を確認するには、

D

を入力し「リターンキー」を押します。そうすると各設定が以下のように表示されます。

***Settings***
BTA=00066600D39A
BTName=FireFly-D39A
Baudrt=9600
Parity=None
Mode =Slav
Authen=0
Encryp=0
PinCod=1234
Bonded=0
Rem=NONE SET

「Baudrt=9600」になっているので、通信速度(ボーレート)は9600に変更されています。ATコマンドモードを終了するには、

---

というように、ハイフンを3回入力し、「リターンキー」を押してください。そうすると「END」という返事がきます。
その他のコマンドについては、
http://www.sparkfun.com/datasheets/RF/RN_BlueportII-ref-guide.pdf
に書いてあります。「BlueSmiRF Gold」の基本設定は以上です。
尚、「ZTerm」やATコマンド入力については、「Arduino+Xbee Shield/Processing+XBee Explorer USB」においても説明があります。


(「ZTerm」のATコマンド入力画面)


「曲げセンサの接続方法」
次は、曲げセンサについてです。通常、曲げセンサはまっすぐな状態の時に抵抗値が低く、曲げると抵抗値が高くなる特性があります。反対方向に曲げてもそれ以上抵抗値は変化しないので、曲げる方向は一方向に限られてしまいます。2本の曲げセンサを背中合わせに貼り合わせて1本として使えば、まっすぐな状態からどちらの方向に曲げても抵抗値が変化するようになります。曲げセンサの通電性のある面を外側にし、両面テープなどで貼り合わせ、それぞれの端子の部分は互いにショートしないようにビニルテープや熱収縮チューブなどで絶縁しておきます。
ひとつの曲げセンサにプルアップ抵抗(10KΩ)を取付け、もうひとつの曲げセンサにはプルダウン抵抗(10KΩ)を取付けます(プルアップ/プルダウン抵抗については「センサについて」を参照)。そうすることで、一方へ曲げると読み取られる電圧は下がり、逆方向へ曲げると電圧が上がるようになります。それぞれ読み取った値をプログラム上で合成しProcessingへ送信します。Arduinoのアナログ入力analogRead()で読み込むと、一方の値が約200~500に変化し、もう一方が約500~800に変化するので、合成すると約700~1300前後で値が変化することになります。まっすぐな状態のときは、約1000前後になります。
ちなみに、「Bi-directional Flexible Bend Sensor」という両方向性の曲げセンサがあります。


「スタンドアロン/外部電源の接続方法」

今回はワイヤレス通信なのでコンピュータにUSB接続せずに、外部電源として乾電池006P(9V)を用いスタンドアロンで操作できるようにします。
抵抗を取り付けた曲げセンサを、以下のようにArduinoのアナログ端子の0番ピンと1番ピンに接続します。
Arduinoへプログラムをアップロードする際には、Bluetoothモジュールを外して行って下さい。同時に、Arduino基板上の「USB-EXT」のジャンパピンも「USB」側に差込んでアップロードしてください。
アップロード後は、Arduino基板とBluetoothモジュールを以下のように接続し、「USB-EXT」のジャンパピンを「EXT」側に差し込んでください。




「Arduinoのプログラム」

void setup(){
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
}

void loop(){
//変数を用意し、二つの読取り値を合成して代入
int val=analogRead(0)+analogRead(1);

//合図用データが届いたら
if(Serial.available()>0){
//合成した値を文字列(改行コード付き)で送信
Serial.println(val,DEC);

//バッファを空にしておく
Serial.read();
}
}



Arduinoからは、値を文字列として送信します。文字列にすることで、大きな値をそのままProcessingへ送信することができます(文字列でシリアル通信する方法については「Arduino-Processing シリアル通信5」を参照して下さい)。


「Processingのプログラム」
Processingの方は、読み取った値に応じて矩形が左右に動く単純なプログラムにします。Arduinoからは改行コードを含んだ文字列データが届くのでbufferUntil()を用い、改行コードまでをひとまとまりのデータとしてreadStringUntil()で読み込み、不要な改行コードをtrim()で取り除き、int()で整数値化し、最終的にmap()でオフセットや最小値/最大値を設定してX座標に代入します。少しゆとりをみて、合成された読み取り値の最小値を500、最大値を1500、図形のX座標値となる最小値を0、最大値を画面幅の600に設定することにします。map()で得られる値はfloat(小数)になるので、X座標用の変数xもfloat型にしておきます。
プログラムを実行し、マウスクリックでシリアル通信を開始することにします。


//シリアル通信ライブラリを取り込む
import processing.serial.*;
//ポートのインスタンス
Serial port;
//X座標用の変数(小数)
float x;

void setup(){
//横長の画面に設定
size(600,200);
//シリアルポート設定(Bluetoothのポート)
port=new Serial(this,"/dev/tty.FireFly-D39A-SPP-1",9600);

//「10」(ラインフィード:改行コード)が来る度に
//serialEvent()を呼び出す
port.bufferUntil(10);
}

void draw(){
//背景
background(100);
//矩形描画
rect(x,100,20,20);
}

void serialEvent(Serial p){
//文字列の変数stringDataを用意し、
//「10」(ラインフィード:改行コード)が来るまで読み込む
String stringData=port.readStringUntil(10);

//文字列データが空ではないとき
if(stringData!=null){
//文字列データに含まれる改行記号を取り除き整数にする
int val=int(trim(stringData));
//値のオフセット、最小値、最大値を設定しxに代入
x=map(val,500,1500,0,600);
//合図用データ送信
port.write('A');
}
}

//マウスをクリックしたらシリアル通信開始
void mousePressed(){
//通信開始用データ送信
port.write('A');
}

10/20/2008

Processing ライブラリのインストール先(v149以降)

現在Processingの最新バージョンは152になっており、いくつかの内容変更があります。特にProcessing 149以降では、ダウンロードしたライブラリをインストールする際(例えば、サウンドライブラリである「minim」など)、スケッチフォルダ内に「libraries」というフォルダを作成し、そのなかにダウンロードしたライブラリを入れるようになりました。
例えば、「minim」の場合なら、ダウンロードした「minim」というフォルダを、MacOSの場合、/Users/username/Documents/Processing/librariesの中に入れるということになります(「username」部分は各ユーザの名前のディレクトリです)。Macintosh HD>ユーザ>各ユーザ名>書類>Processing>libraries>minimという感じです。

追記:
バージョン155以降では、「libraries」フォルダがない場合には自動的に作成されるようになったようです。


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