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2008年用ですが、部分的に内容を更新しています(2010/06/14)。
また、[建築農業工作ゼミ2009-2010]とも連動していますので、そちらにも幾つかサンプルがあります。
:

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11/01/2008

Arduino Ethernet Shield

今回は、Arduino Ethernet Shieldスイッチサイエンスストロベリーリナックスにて販売)を使って、Arduinoをサーバとして機能させ、Webブラウザ(IE、Safari、FireFoxなど)から閲覧可能なページの表示実験を行いたいと思います。
そのために、Arduino開発環境の最新版「Arduino 0012」に含まれている「Ethernetライブラリ」を使います。
*Arduino MegaとEthernet Shieldを重ねて使う場合の説明はこちら


(Arduino Ethernet Shield)


Arduinoのサイトによれば、デジタルI/Oピンの11、12、13番ピンはSPI通信に使われているようなので、それらのピンにはセンサなどを接続しないことにします。


今回は、Arduino 0012に含まれている「Web Server」というサンプル(File>Sketchbook>Examples>Library-Ethernet>Web Server)を参考にブラウザで閲覧可能なWebベージを表示させます。元々のサンプルでは、アナログ入力値をWebページに表示させていますが、ブラウザのタイトルバーの表示文字、リンクさせた画像の表示など多少変更した内容にしてみます。
基本的な入力情報として、

・MACアドレス
・サーバのIPアドレス
・ポート番号

が必要となります。尚、ローカルネットワーク内から閲覧できる設定にします。

Arduinoのプログラム(サーバ):

//イーサネットライブラリを取り入れる
#include <Ethernet.h>

//MAC ID(各シールドに記載)
byte mac[] = { 0x00, 0x50, 0xC2, 0x97, 0x20, 0x11 };
//サーバ用IPアドレスの設定
byte ip[] = { 192, 168, 3, 100 };
//ポート設定(80:HTTPプロトコル)
Server server(80);

void setup(){
//イーサネット通信開始
Ethernet.begin(mac, ip);
//サーバ開始
server.begin();
}

void loop(){
//クライアントからのデータ受信
Client client = server.available();
//クライアントからの受信がある場合
if (client) {
//ブラウザからのHTTPリクエストの空白行の有無のフラグ
boolean current_line_is_blank = true;

//クライアントとの接続中の処理
while (client.connected()) {
//クライアントから受信データがあるとき
if (client.available()) {
//HTTPリクエスト(受信データ)を一つずつ読み込む
char c = client.read();
//HTTPリクエストにラインフィード(改行)があり、
//現在空白行である場合
if (c == '\n' && current_line_is_blank) {
//HTTPレスポンス(返信)
server.println("HTTP/1.1 200 OK");//リクエスト成功
server.println("Content-Type: text/html");//HTML文書形式
server.println();//空白行を入れる

//タイトルバー表示
server.println("<title>KOUSAKU WEB SITE</title>");
server.print("ANALOG INPUT: ");//文字表示
server.print(analogRead(0));//アナログ入力値
server.println("<br/>");//改行
//リンク画像表示
server.println("<img src=\"http://2.bp.blogspot.com/_7uyXRm_coS4/SQeoW-PJB2I/AAAAAAAAAbA/0Go85aRfLDY/s400/ethernet.png\">");
server.println("<br/>");//改行
//このブログへのリンク
server.println("<a href=\"http://kousaku-kousaku.blogspot.com\">GO TO: KOUSAKU BLOG PAGE<a>");
break;
}
if (c == '\n') {//読み込んだ文字がラインフィードの場合
//現在の行を空白行とみなす
current_line_is_blank = true;
} else if (c != '\r') {//読み込んだ文字がキャリッジリターン以外の場合
//現在の行を空白行としない
current_line_is_blank = false;
}
}
}
delay(1);
client.stop();
}
}


Arduino基板のアナログ入力0番端子に可変抵抗器をひとつ接続し、その読み取り値もページに表示されます。Arduinoのプログラム上では、MACアドレス、IPアドレス、ポート番号をそれぞれ設定しておき(説明以下)、クライアントのブラウザからの「HTTPリクエスト」(説明以下)を受け、「HTTPリクエスト」内の空白行を確認したら、「HTTPレスポンス」(説明以下)を返します。そのとき同時にHTML形式のページ表示内容データも送信されます。送信されたら、client.stop()で、クライアントとの接続を一旦停止します。再度、クライアントから「HTTPリクエスト」があれば、同様に処理されます。

「MACアドレス」:
MACアドレスは、Ethernet Shield固有のアドレスであり(ハードウェアごとに異なる)、スイッチサイエンスから購入したものであれば、Ethernet Shield裏面に貼られたシールに記載されている「00-50-C2-97-20-11」のような16進数の6つの数値です。これらの数値を16進数表記であたまに「0x」を付け加え記入しておきます。
もし、MACアドレスが不明の場合は、MacOSXなら「アプリケーション>ユーティリティ」内にある「ターミナル」を起動し、「ping -c 3 192.168.3.100」(IPアドレスは設定したものを入力してください)というように入力しリターンキーを押してください。その後、「arp -a」を入力しリターンキーを押すと、入力したIPアドレスの右横にMACアドレスが表示されます。
Windowsの場合、アクセサリ内の「コマンドプロンプト」を起動して、「ping 192.168.3.100」(「ping」の後に半角スペースを入れ、設定したEthernet ShieldのIPアドレスを入力)を入力しリターンキーを押すと、返答として「reply from...」などと数行表示されます。その後、すぐに「arp -a」を入力しリターンキーを押せば、Ethernet ShieldのIPアドレスの右横にMACアドレス(Physical Address)が表示されるはずです。

「IPアドレス」:
IPアドレスを設定するには、Ethernet Shieldに接続するイーサネットケーブルをコンピュータに接続し、まずイーサネット経由でのコンピュータのIPアドレスを調べてみます。IPアドレスが「192.168.3.xxx」であれば、最後の桁に任意の数値(他のIPアドレスと重ならないような数値)を入力すれば、大丈夫なはずです(今回の場合は「100」にしました)。同時に、ルータ(gateway)のIPアドレスも調べておくといいでしょう。この場合「192.168.3.1」(最後の桁が「1」)になっているはずです。
「ターミナル(MacOSX)」や「コマンドプロンプト(Windows)」で、MACアドレスを調べると(前述)、ルータのIPアドレスやMACアドレスも表示されるはずです。
尚、「Processing HTTPサーバ/Webページ表示」の冒頭でも、IPアドレスの調べ方について記載しているので参照して下さい。

「ポート」:
ポートは、通常のインターネットで使用している「80」に設定されています(プロトコル:HTTP用)。例えば任意のポート「12345」に設定する場合、ブラウザ上でIPアドレスを入力する際に「http://196.168.3.100:12345」というように「:12345」をIPアドレスの後ろに付け加えます。

「HTTPリクエスト」:

通常、ブラウザからURLを入力しページを表示させる場合、「GET / HTTP/1.1」(HTTPリクエスト)というサーバへの要求内容が送信されます。「GET /index.html HTTP/1.1」にすれば、サーバ上の「index.html」を指定して表示要求することもできます。
実際のブラウザ「Fire Fox 3.0.3」からサーバへ送信されるHTTPリクエストは、以下のような内容になっていました。

GET / HTTP/1.1 (リクエスト行)
Host: 192.168.3.100:12345 (メッセージヘッダ:以下の空白行手前まで)
User-Agent: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; PPC Mac OS X 10.4; ja-JP-mac; rv:1.9.0.3) Gecko/2008092414 Firefox/3.0.3
Accept: text/html,application/xhtml+xml,application/xml;q=0.9,*/*;q=0.8
Accept-Language: ja,en-us;q=0.7,en;q=0.3
Accept-Encoding: gzip,deflate
Accept-Charset: Shift_JIS,utf-8;q=0.7,*;q=0.7
Keep-Alive: 300
Connection: keep-alive
Cache-Control: max-age=0
(空白行)
(メッセージボディ:今回は特に何も送るデータは含まれていない)

「リクエスト行」では、サーバへの要求内容が書かれています。
「メッセージヘッダ」では、サポートされるデータ形式や言語などの様々な情報が記載されています。
「空白行」を挿入することで、要求内容の終わり部分を知らせます。
「メッセージボディ」は、サーバに入力情報などを送る際に使われます。
各行末には「\r\n」(CR+LFの改行コード)がついていました。


「HTTPレスポンス」:

サーバはブラウザからのHTTPリクエストを受け取って、「HTTP/1.1 200 OK」という受信確認した返事を返してきます。「200」はHTTPステータスコードと呼ばれ、「Not Found」(ページが見当たらない)の場合は「404」を返します。
「content-type:text/html」は、内容がHTML文書であるという形式について返答しています。
その後で、println()で空白行を送信します(CR+LF/キャリッジリターン+ラインフィードを送信)。
次に、HTMLなどのコンテンツを送ります。
つまり、以下のような内容になります。

HTTP/1.1 200 OK    (ステータス行)
content-type:text/html (メッセージヘッダー)
            (空白行:CR+LF)
<html>         (メッセージボディ)
<head>...</head>
<body>...</body>
</html>

コンテンツはHTML形式で、println()の括弧内に記述します。基本的に<>(タグ)で囲い、ブラウザのタイトルバーを表示させるために「<title>KOUSAKU WEB SITE</title>」としています。ひとつ問題になることは、println()の括弧内に「"..."」ダブルクオーテーションマークで文字列をくくらなければならないのですが、画像リンクやURLリンク先を記入する場合に「"」を文字列として扱いたい時、そのまま入力するとエラーになってしまうので、「"」を「\"」に置き換えて入力します(エスケープシーケンス)。そのため、「println("<img src="リンク先URL">")」(二重に「"」で括られてしまう)を「println("<img src=\"リンク先URL\">")」という表記にします。<br/>は、ブラウザ表示される際の改行です。

「ブラウザ上での閲覧」:
ポートを「80」に設定している場合、「http://192.168.3.100」(設定したIPアドレス)を入力しリターンキーを押せば、Arduino Ethernet Shieldからデータが送られ、ブラウザにコンテンツが表示されるはずです。
ポートを「12345」などの任意の番号にしている場合、「http://192.168.3.100:12345」というように、アドレスの最後に「:12345」(コロンとポート番号)をつけてアクセスして下さい。

「ローカルネットワーク外からのアクセス」:
外部からインターネットによってアクセスする場合は、グローバルIPアドレス、ルータ、ポートマッピングなどの設定が必要になります(「Processing-Arduino ネットワーク制御」の後半に、ポートマッピングなどの設定方法が書いてあるので参照してください)。
尚、LAN内の別のコンピュータからグローバルIPアドレスを使ってアクセスはできないので、実際にLAN外部からアクセスして見てください。

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Processing HTTPサーバ/Webページ表示

今回は、ProcessingのNetworkライブラリを利用して、ウェブブラウザで閲覧可能なウェブサイトのサーバとして機能させます。
サーバとして、IPアドレスならびにポート番号をあらかじめ確認/設定しておきます。

LAN内のローカルIPアドレスの場合:
コンピュータのIPアドレスを調べるには、MacOSXであれば、「システム環境設定>ネットワーク」を開き、AirMacを使用している場合は「AirMac」を選択、ケーブル接続している場合は「内蔵Ethernet」を選択し、「TCP/IP」タグを選択すると2段目あたりに「IPアドレス:10.0.1.2」などと表示されています。Windowsの場合は、コマンドプロンプトを開いて、「ipconfig」と打ってリターンすれば、幾つかの情報が現れ「IP Address....10.0.1.2」などと表示されるはずです。

グローバルIPアドレスを調べる場合:
以下のようなサイトで調べることができます。
http://dog.tele.jp/lookup.php
「あなたのパソコンのグローバルIPアドレスは」と書かれている場所に表示されます。

尚、ローカルネットワークの外からアクセス可能にするためには、ルータ上でのポートマッピング(ポート転送)などの設定が必要になります。設定については、「Processing-Arduino ネットワーク制御」の後半に説明があるので参照してください。

参照:YahooBBのモデムのポート転送設定方法


Processingのプログラム:

//ライブラリのインポート
import processing.net.*;
//サーバのインスタンス
Server server;
//カウンタ用変数
int val = 0;

void setup() {
size(200, 200);
//サーバの設定(ポート:12345)
server = new Server(this, 12345);
}

void draw() {
//クライアントからの受信確認
Client client = server.available();

//クライアントがいる場合
if (client!=null) {
//クライアントIPアドレス出力
println("Client IP Address : "+client.ip());
//クライアントからのデータがあるとき
if(client.available()>0){
//データ読み込み(HTTPリクエスト読み込み)
String clientData=client.readString();

//データを改行コードをもとに区切り、
//改行コードを取り除いてから配列に代入していく
String[] httpRequest=trim(split(clientData,'\n'));

//受信データの最初の内容が「GET / HTTP/1.1」の場合
if(httpRequest[0].equals("GET / HTTP/1.1")){
//以下の内容をクライアントへ返信する(HTTPレスポンス)
client.write("HTTP/1.1 200 OK\n");//接続成立
client.write("Content-Type: text/html\n");//HTML文書形式
client.write("\n");//空白行

//以下HTML文書表示内容
client.write("<title>KOUSAKU SERVER</title>");//タイトルバー表示

client.write("THIS IS KOUSAKU WEB SITE");//表示テキスト
client.write("<br/>");//改行

client.write("YOUR IP ADDRESS: "+client.ip());//IPアドレス表示
client.write("<br/>");//改行

//リンク画像表示(インターネット上のリンク先)
client.write("<img src=\"http://3.bp.blogspot.com/_7uyXRm_coS4/SPRtCNVY1gI/AAAAAAAAATk/UR4Tl5ytviA/s400/network.png\">");
client.write("<br/>");//改行

//リンクページへ移動する
client.write("<a href=\"http://kousaku-kousaku.blogspot.com\">GO TO: KOUSAKU BLOG PAGE<a>");
client.write("<br/>");//改行

//カウンタ機能
val++;
client.write("COUNTER: "+val);//カウンタ表示
client.write("\n\n");//空白行
}
client.stop();//クライアントとの接続を停止
}
}
}


上記のサーバ用のプログラムを起動し、クライアント用コンピュータ上でブラウザ(IE、Safari、FireFoxなど)で指定したIPアドレスとポート番号を入力してアクセスしてください。
例えば、「192.168.3.3」がサーバのIPアドレスであれば、「http://192.168.3.3:12345」をブラウザ上で入力して下さい。

HTTPリクエスト、HTTPレスポンスについては、「Arduino Ethernet Shield」を参照してください。



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10/25/2008

Processing-Arduino ネットワーク制御

今回は、ProcessingのNetworkライブラリを使って、ネットワーク越しに複数のクライアントコンピュータから、サーバコンピュータに接続されたArduinoのサーボとLEDを操作することにします。ネットワーク上では、情報を提供する側となるサーバコンピュータに複数のクライアントコンピュータが接続されているような状態になります。



まず、上図のようにローカルネットワーク内での通信を行ってみます(後半にローカルネットワーク外からの通信サンプルを記載しておきました)。

ひとつのクライアントからサーバへ信号が送られると、サーボの角度やLEDの点灯状態が変化しますが、サーバはクライアントからの信号を受け取るだけではなく、現在のサーボの角度やLEDの状態(オン/オフ)についての情報も各クライアントへ送り返します。そうすることで、各クライアントは現在のサーボやLEDの状態を把握しながら制御することができます。
サーバコンピュータとクライアントコンピュータはインターネット越しに通信され、サーバコンピュータとArduinoはシリアル通信されます。


(Processingの画面:画面上半分がサーボ用スライダ、下半分がLED用ボタン)

Processingの画面には、上半分がサーボ用のスライダ、下半分にLED用のボタンを配置することにします。スライダは0~255の値を送信し、ボタンは押すとオン(緑)の状態になり、もう一度押すと白(オフ)に戻ります。あるクライアントがボタンを押せば、サーバとその他のクライアントのボタンの色も同時に変わります。サーバからのコントロールも可能です。

Arduinoでは、サーボの値とLEDの値をサーバコンピュータからシリアル通信を通してデータ受信します。以下のプログラムでは、サーボは3番ピンと接続しPWMで制御することにします(サーボ制御の方法については、「Arduino サーボ制御」を参照して下さい)。LEDは13番ピンに接続しデジタル出力でオン/オフ制御することにします。


Arduinoのプログラム:

//サーボ用変数を用意
int servoVal;
//LED用変数を用意
int ledVal;

void setup(){
//シリアル通信開始
Serial.begin(9600);
//13番ピンをデジタル出力に設定
pinMode(13,OUTPUT);
}

void loop(){
//データが二個きたら(1個より多ければ)
if(Serial.available()>1){
//サーボの回転値として読み込む(0~255)
servoVal=Serial.read();
//LEDの点灯状態(0:OFF,1:ON)
ledVal=Serial.read();
//合図用データ送信
Serial.print('A');
}
//3番ピン(PWM):アナログ出力(サーボ)
analogWrite(3,servoVal);
//13番ピン:デジタル出力(LED)
digitalWrite(13,ledVal);

//0.02秒周期にする
delay(20);
}



「サーバのプログラム」:
サーバ側のプログラムでは、ネットワークとシリアル通信の二つのライブラリが必要となります。スライダは横方向(X座標)に動かし256段階あるので、画面サイズの横幅も256ピクセルにしてあります。ドラッグのためのプログラムは、mouseDragged()を使わず、startDrag(名前は任意)というフラグを用意し、mousePressed()でマウスを押したときにフラグがtrueになり、ドラッグが開始されたことになり、mouseReleased()でマウスが放されたときにドラッグ終了になり、同時にフラグもfalseになるようにしておきます。つまりフラグstartDragによって、ドラッグしているかどうかを判別することになります。ドラッグしていなくてもマウスボタンを押し続けている限りドラッグ中と見なされるので、その間データを送信し続けます。
あまり高速での通信ができないためフレームレートを10にしています。環境に応じてフレームレートを調整してみて下さい(サーバとクライアントのプログラム両方)。
サーバとクライアントの間では、文字列で送受信しています。文字列に含まれるデータは:

サーボの値 + コンマ + LEDの値 + 改行コード

であり、たとえば

"155,1\n"

のような連続した文字列になります。サーボの値は0~255の数値、LEDの値は0か1になり、その間をコンマで区切り(デリミタ)、最後の部分に「\n」改行コードを付け加えて送信します。文字「\n」は、アスキーコード表で十進数の「10」に相当します。受信の際には、readStringUntil(10)を使うことで、改行コード「\n」つまり「10」までをひとまとまりのデータとして読み込み、その文字列データをtrim()で改行コードを取り除き、split()でコンマをもとに配列に分解し、int()で文字列の数値を整数化し、それぞれの値に代入します(文字列を分解して数値化する方法は「Arduino-Processing シリアル通信5」でも説明してあります)。
サーバのプログラムが開始したら、「s」キーを押してArduinoとのシリアル通信を開始します。

Processing サーバのプログラム:

//ネットワークライブラリの取り込み
import processing.net.*;
//シリアル通信ライブラリの取り込み
import processing.serial.*;

//サーバのインスタンス
Server server;
//クライアントのインスタンス
Client client;
//シリアル通信のインスタンス
Serial port;

//サーボの変数
int servoVal;
//LEDの変数
int ledVal;
//ドラッグ中かどうかのフラグ
boolean startDrag=false;

void setup(){
//画面サイズ
size(256,200);
//フレームレートを遅めに設定
frameRate(10);
//サーバの設定(ポート:12345)
server = new Server(this, 12345);
//シリアルポート設定
port=new Serial(this,"/dev/tty.usbserial-A4001Kjl",9600);
//矩形描画を中央配置に設定
rectMode(CENTER);
//外形線なし
noStroke();
}

void draw() {
//クライアントからのデータ受信
client = server.available();
//クライアント受信内容が空ではないとき
if (client != null) {
//文字列データの読み込み(改行コードまで)
String input=client.readStringUntil(10);
//文字列データの改行コードを取り除く
input=trim(input);
//文字列データを整数の配列に変換
int[] data = int(split(input, ','));
//配列の最初の値をサーボ変数に代入
servoVal=data[0];
//配列の次の値をLED変数に代入
ledVal=data[1];
}

//ドラッグ中
if(startDrag){
//サーボ変数にマウスX座標値を代入(最小値:0、最大値:255)
servoVal=constrain(mouseX,0,255);
//クライアント側へ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
server.write(servoVal+","+ledVal+"\n");
}

background(0);//背景(黒)

fill(80);//スライダ溝の塗色(グレー:80)
rect(width/2,50,width,50);//スライダ溝の矩形描画
fill(255);//スライダの塗色(白)
rect(servoVal,50,10,50);//スライダの矩形描画

//LEDボタンの色切替(0:オフ,1:オン)
if(ledVal==1){ //オンの場合
fill(0,255,0);//緑にする
}else{ //オフの場合
fill(255); //白にする
}
//LED用のボタン描画
rect(width/2,150,50,50);
}

//シリアル通信処理
void serialEvent(Serial p){
//合図用データが1個来た場合(0個より多い場合)
if(port.available()>0){
//合図用データを読込んバッファを空にする
port.read();
//サーボの値とLEDの値をシリアル通信で出力
port.write(servoVal);
port.write(ledVal);
}
}

//キーを押した場合
void keyPressed(){
//「s」キーの場合
if(key=='s'){
//シリアル通信開始用データ送信
port.write(servoVal);
port.write(ledVal);
}
}

//マウスボタンを押した場合
void mousePressed(){
//LED用のボタン矩形内にマウスがある場合
if(mouseX>width/2-25 && mouseX<width/2+25 && mouseY>125 && mouseY<175){
//LED点灯切替処理
if(ledVal==0){//オフの場合
ledVal=1; //オンにする
}else{ //オンの場合
ledVal=0; //オフにする
}
//クライアント側へ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
server.write(servoVal+","+ledVal+"\n");
}
//スライダ部分の場合
if(mouseY>25 && mouseY<75){
//ドラッグのフラグをtrueにする
startDrag=true;
}
}

//マウスを放した場合
void mouseReleased(){
//ドラッグのフラグをfalseにする
startDrag=false;
}




「Processing クライアント側のプログラム」:

//ネットワークライブラリを取り込む
import processing.net.*;
//クライアントのインスタンス
Client client;

//サーボ用変数を用意
int servoVal=127;
//LED用変数を用意
int ledVal=0;
//ドラッグ中かどうかのフラグ
boolean startDrag;

void setup() {
size(256, 200);
frameRate(10);
//サーバのIPアドレス、ポートの設定
//(「10.0.1.2」の部分は適宜変更)
client = new Client(this, "10.0.1.2", 12345);
rectMode(CENTER);
noStroke();
}

void draw(){
//サーバからのデータ受信
if (client.available() > 0) {
String input = client.readStringUntil(10);
input = trim(input);
int[] data = int(split(input, ','));
print(data);
servoVal=data[0];
ledVal=data[1];
}

//ドラッグ中の処理
if(startDrag){
servoVal=constrain(mouseX,0,255);
client.write(servoVal + "," +ledVal + "\n");
}

//描画処理
background(0);
fill(20);
rect(width/2,50,width,50);
fill(255);
rect(servoVal,50,10,50);
if(ledVal==1){
fill(0,255,0);
}else{
fill(255);
}
rect(width/2,150,50,50);
}


void mousePressed(){
if(mouseX>width/2-25 && mouseX<width/2+25 && mouseY>125 && mouseY<175){
if(ledVal==0){
ledVal=1;
}else{
ledVal=0;
}
//サーバへ送信(サーボの値、コンマ、LEDの値、改行コード)
client.write(servoVal + "," +ledVal + "\n");
}

if(mouseY>25 && mouseY<75){
startDrag=true;
}
}

void mouseReleased(){
startDrag=false;
}



クライアント側のプログラムでは、setup(){...}内でサーバのIPアドレスを指定する必要があります。上のプログラムでは「10.0.1.2」になっていますが、適宜変更してください。通常ローカルネットワークであれば「127.0.1.2」や「192.168.1.2」、あるいはルーターやAirMacなどを使っていれば、「10.0.1.2」などになっているかもしれません。サーバに設定したコンピュータのIPアドレスを調べるには、MacOSXであれば、「システム環境設定>ネットワーク」を開き、AirMacを使用している場合は「AirMac」を選択、ケーブル接続している場合は「内蔵Ethernet」を選択し、「TCP/IP」タグを選択すると2段目あたりに「IPアドレス:10.0.1.2」などと表示されています。Windowsの場合は、コマンドプロンプトを開いて、「ipconfig」と打ってリターンすれば、幾つかの情報が現れ「IP Address....10.0.1.2」などと表示されるはずです。



「外部からの接続方法」:
ルータを通してインターネットに接続している場合、ローカルネットワーク外から通信するには、ルータのポートマッピングやサーバコンピュータのファイヤーウォールの解除設定する必要がでてきます。
通常、インターネットプロバイダからグローバルIPアドレスがひとつ与えられています。各自のパソコンからグローバルIPアドレスを調べるには以下のようなサイトで調べることができます。
http://dog.tele.jp/lookup.php
「あなたのパソコンのグローバルIPアドレスは」と書かれている場所に表示されるはずです。
あるいは、
http://www.ugtop.com/spill.shtml
のサイトの「現在接続している場所(現IP)」の欄に同じアドレスが表示されるはずです。
このグローバルIPアドレスをメモしておきます。


「接続例」:
以下は、ローカルネットワーク内のひとつのコンピュータをサーバに設定し、ローカルネットワーク外から通信をするための接続例です。例えば、仕事場や学校のコンピュータから、自宅にあるサーバに設定したコンピュータにアクセスする方法です。



上画像では、ADSLモデム-ルータを使用してインターネットに接続しており、さらにそのADSLモデム-ルータにAirMacをケーブルで接続しています。そして複数あるコンピュータは、AirMacの無線通信でインターネットに接続しています。
このネットワークのグローバルIPアドレスは、先ほど調べた方法により「219.196.xxx.xxx」になっています(実際のアドレスに置き換えてください)。「モデム-ルータ」によって、グローバルIPアドレスがプライベートIPアドレスに変換され、複数のプライベートIPアドレスに分けられます(「192.168.xxx.xxx」のようなアドレス)。さらに、AirMacにおいてもルータ機能があるため、さらに細かなプライベートIPアドレスに分けられます(「10.0.1.xxx」のようなアドレス)。
ここでは、二つのルータによって二段階にIPアドレスが割り振られていますが、AirMacを「ブリッジモード」に切り替えることで、以下のようにAirMacのルータ機能を使わないネットワークに変更することができます。



「ブリッジモード」:
「ブリッジモード」は、コンピュータから「AirMacユーティリティ」を開いて変更することができます(ただし、変更できる権限が必要です)。「ブリッジモード」にすることで、AirMacはIPアドレス(「10.0.1.xxx」のようなアドレス)を割り振らなくなるので、元々の「モデム-ルータ」が割り振るアドレスを使うことにします(「192.168.xxx.xxx」のようなアドレス)。ただし、このままだと「モデム-ルータ」が自動的にプライベートIPアドレスをそれぞれのコンピュータに割り振ってしまうので、使用しないコンピュータなどがあるときは、プライベートIPアドレスが入れ替わってしまうことがあります。
そのため、サーバにしたいコンピュータには固定したIPアドレスを与えます。以下のように「コンピュータC」に固定のIPアドレス「192.168.3.10」を与えて、サーバとして機能させることにします。



「固定IPアドレスにする」:
各コンピュータ上のIPアドレス設定では、「DHCPサーバを参照」や「DHCPサーバを使用」というように、ルータから自動的にIPアドレスが割り振られる設定になっていることが多いと思います。MacOSXの場合、「システム環境設定>ネットワーク」へ行き、AirMac(あるいはEthernet:現在インターネットに接続している方法を選択)を選択し、「TCP/IP」の項目内で設定できます。サーバ用に使うコンピュータにおいては、このIPアドレス設定の部分を、「手入力」に変更し、指定したIPアドレスを使うように設定し直します。
Windows XPの場合は、「コントロールパネル>ネットワーク接続」で、使用しているネットワーク接続(「ワイヤレスネットワーク接続」など)のプロパティを右クリックで開き、「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選択しプロパティボタンを押し、「IPアドレスを自動的に取得する」に設定されている部分を「次のIPアドレスを使う」に切り替えて、以下の設定を入力していきます。

上図の場合は、ルータのIPアドレスが「192.168.3.1」になり、AirMacが「192.168.3.2」、以下に続く各コンピュータは「192.168.3.3」、「192.168.3.4」というように最後の数値がひとつずつ増えていきます。IPアドレスが重ならないように、固定するIPアドレスを「192.168.3.10」に設定しておきます(1~254まで可)。サブネットマスクは自動的に「255.255.255.0」になるはずです。ルータのIPアドレス(ゲートウェイ)は、「DHCPサーバを参照」の時と同じなので「192.168.3.1」を記入します。「DNS」あるいは「DNSサーバ」の項目については、先ほど調べたグローバルIPアドレスである「219.196.xxx.xxx」を記入します(グローバルIPアドレスは、実際に調べたアドレスを入れてください)。サーバ用のコンピュータの設定は以上です。


「ポートマッピング設定」:
もうひとつしなければならないことは、ポートマッピング(ポート転送/ポートフォワーディング)の設定です。回線に接続しているルータ自体の設定を変更する必要があります。通常コンピュータ上のブラウザからルータのアドレスにアクセスし操作するようになっています(各ルータのマニュアルを参照してください)。大抵の場合は、「詳細設定」のような項目に入っていると思います。
プロトコル、ポート、転送先のIPアドレス(先ほど固定したサーバ用のIPアドレス)を入力する必要があります。プロトコルは「TCP/UDP」を選択し、WAN側とLAN側のポートは同じものを入れておきますが、今回の場合Processingのコードでポートを「12345」に設定しておいたので、それを入力することにします(「12345」〜「12346」までというように範囲指定する入力にしておきます)。転送先IPアドレスは、固定した「192.168.3.10」を入力しておきます。ポートマッピングの設定は以上です。尚、ポートは、0~65535までの番号が入れられますが、0~1023までは使用目的が決められているので、あまりつかわない方がいいと思います。

ポートマッピングによって、ポート「12345」(あるいは「12346」)を通してローカルネットワーク外からグローバルIPアドレス「219.196.xxx.xxx」に送られた信号は、サーバ用コンピュータのプライベートIPアドレス「192.168.3.10」に転送されることになります。

Processingのクライアント用のプログラム内の、

client = new Client(this, "219.196.xxx.xxx", 12345);

IPアドレス部分をグローバルIPアドレス「219.196.xxx.xxx」(実際に調べたアドレスを入れてください)に書き換えればローカルネットワーク外から通信できるようになります。

参照:YahooBBのモデムのポート転送設定方法


「外部から通信できない場合」:
ファイヤーウォールによって、外部からの通信をブロックしている場合があるので、ファイヤーウォール設定を解除して通信してみてください。ただし、セキュリティ上危険になるので注意してください。

尚、同じローカルネットワーク内にある別のコンピュータからは通信できないので(例えば上図の「コンピュータA」とサーバの「コンピュータC」との通信はできない)、異なるグローバルIPアドレス(外部)から通信してください。「コンピュータA」と「コンピュータC」を通信させる場合は、前半で説明したローカルネットワーク内での通信方法を利用してください。





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